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【会計】使用権資産の表示方法、再提案─ASBJ、リース会計専門委

去る8月24日、企業会計基準委員会は第119回リース会計専門委員会を開催した。
主な審議事項は次のとおり。

■表示および注記

第117回リース会計専門委員会(2022年8月1日号(No.1651)情報ダイジェスト参照)の審議を踏まえ、借手について次のような再提案がされた。

⑴ 事務局提案

① 使用権資産の表示方法
固定資産に新たに「使用権資産」の区分を設ける方法とする案に反対意見も多く聞かれたため、次のいずれかの方法によるとする再提案が示された。

ⅰ 対応する原資産を自ら所有していたと仮定した場合の表示科目に含めて表示
ⅱ 原資産が有形固定資産か無形固定資産かによって、それぞれの資産において使用権資産として区分して表示

② 開示目的および当該開示目的を満たすために必要な追加の定性的・定量的情報
定められた注記事項以外であっても開示目的に照らして注記する情報は、会計基準に例を示す。

③ 短期リースおよび少額資産のリースに係る費用の開示
短期リースは開示を要求し、少額資産のリースは求めない。

⑵ 専門委員の意見

専門委員からは「③の短期リースの開示も実務上負担がある。金額的重要性がない場合は不要としては」等の意見が聞かれた。

⑶ 親委員会の意見

8月23日開催の第485回親委員会でも本テーマが議論され、委員からは、おおむね賛意が示された。

■セール&リースバック取引

第118回リース会計専門委員会(2022年8月10日号(No.1652)情報ダイジェスト参照)に引き続き、審議が行われた。

⑴ 事務局提案

セール&リースバック(S&LB)取引については、米国基準のモデルを採用している。そこでその定めを参考に、S&LBによる資産の譲渡が売却に該当するかどうかの判断に関して、リースバック(LB)がファイナンス・リースに該当する場合の原則的な考え方を、適用指針の本文に次のように記載する案が示された。

LBにより、売手である借手が、資産からもたらされる経済的利益のほとんどすべてを享受することができ、かつ、資産の使用に伴って生じるコストのほとんどすべてを負担することとなる場合、売手である借手による資産の譲渡は売却に該当しないと判断するものとする。

また、日本基準、IFRS、米国基準における設例をすべて採り入れない案が示された。

⑵ 専門委員の意見

専門委員から「日本基準と米国基準の基準差は残る。解消できないならば、基準差があることを明確化すべき」との意見が聞かれた。

⑶ 親委員会の意見

8月23日開催の第485回親委員会でも議論され、委員から特段の異論は聞かれなかった。

■時価開示適用指針の改正

リース会計基準の改正に伴う企業会計基準適用指針19号「金融商品の時価等の開示に関する適用指針」の改正に関して、「金融商品の時価等に関する事項」および「金融商品の時価のレベルごとの内訳等に関する事項」について、次の事務局案が示され、議論された。

・リース負債(借手)→現行の取扱いを変更し、時価開示の注記を要しない。
・リース債権等(貸手)→現行の取扱いを変更せず、時価開示の対象とする。

専門委員からは、「貸手について、リース債権の公正価値の開示作業はコスト負担が大きい。コストベネフィットがあるのか疑問」との意見があった。


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