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【会計】ステーブルコインを用いた取引の会計上の取扱い、テーマ提言へ─FASF、企業会計基準諮問会

去る7月20日、財務会計基準機構内に設置されている企業会計基準諮問会議は第45回会議を開催した(名称変更後、初の開催)。主な審議内容は次のとおり。

■ステーブルコインを用いた取引

⑴ 提言概要

6月10日に公布された改正資金決済法を踏まえ、金融庁より電子決済手段の発行・保有等に係る会計上の取扱いの検討が新規テーマとして提言された。ここでいう「電子決済手段」とは、法定通貨と価値を連動させたステーブルコインを用いた取引を指す。具体的には、次の改正資金決済法2条5項各号に規定するものである。

・不特定の者に対して代価の弁済に使用すること等ができる通貨建資産であって、電子情報処理組織を用いて移転することができる財産的価値(1号・2号)
・特定信託受益権(金銭信託による受益権であって、信託財産の全部が預貯金により管理されているもの)(3号)
・これらに準ずるもの(4号)

前記1~3号は法定通貨による償還が約されており、価格変動が想定されない。他方、4号は法定通貨による償還が約されておらず、現行法上は「暗号資産」に該当するものの、今後内閣府令で指定されることが想定される。
本提言では、1~3号のような「電子決済手段」を発行・保有する場合の会計処理について、改正資金決済法の施行日までに実務対応報告を公表すること、4号については検討に時間を要することが見込まれる場合には1~3号とは分離して継続的に検討することが求められた。なお、改正資金決済法は公布日から起算して1年内に施行される。

⑵ 事務局の分析

テーマアップ要件に従って分析を行い、本提言は実務対応報告38号「資金決済法における暗号資産の会計処理に関する当面の取扱い」等に関連するテーマであり、実務対応レベルで想定されると考えられる。
また、1~3号はいずれも金融商品に該当し、企業会計基準10号「金融商品に関する会計基準」等が適用されることになると考えられる。
前記を踏まえ、主に次の3点を論点とし、まず1~3号の取扱いを検討し、4号については内閣府令の内容が公表された後に検討の判断を行う。

① 預金と同様に現金同等物と取り扱うかどうか
② 市場価額が存在する場合に時価評価の対象とするか、時価評価の対象としない場合に貸倒引当金等の評価減の対象とするか
③ 発生および消滅の認識時点

委員からはおおむね同意が得られ、ASBJに新規テーマとして提言することとした。

■株式報酬に関する会計処理・開示の取扱い

前回(2022年3月20日号(No.1639)情報ダイジェスト参照)に引き続き、株式報酬に関する会計基準・開示の取扱いの整備についても審議されたが、本テーマは引き続き実務対応専門委員会にて議論を行うことを依頼することとした。


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本記事は、旬刊誌『経理情報』に掲載している「情報ダイジェスト」より抜粋しています。
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