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『琉球政府時代の証券史』|書籍紹介

こんにちは。中央経済社note編集部電子担当です。
本日は4月の新刊『琉球政府時代の証券史』をご紹介。著者の小谷 融 氏からメッセージが届いています。

琉球政府時代の制度を紐解く

米国統治下の琉球政府時代の証券市場や監査制度・開示制度等を、歴史的変遷と制度趣旨を本土と比較しながら紐解いた一冊。本土よりも進歩的だった制度もあったことなどが明らかにされています。

著者 小谷 融 氏よりメッセージ

沖縄は2022年5月15日、本土復帰50年を迎えました。米国の統治下にあった1945年から1972年まで間、アメリカ世(ゆー)ともいわれていました。米国民政府の管理下に琉球政府を置くという間接統治は、1972年5月15日に施政権が日本に返還されるまで続くことになります。

琉球政府は1957年12月13日、投資家保護と資本市場の健全性の確保を目的とする立法第111号「証券取引法」を公布しました。これは、戦後、沖縄において企業が勃興しつつあったころ、米国民政府からの「一部の事業家のみが設立発起人となり、琉球銀行や琉球復興金融基金の資金を利用していることは望ましくない。もっと株主の大衆化を図るべきではないか。」との指摘に対応したものです。

同法は、本土の証券取引法に準拠して策定されたものですが、米国民政府の強い意向もあり、ディスクロージャー制度や公認会計士監査制度などは本土よりも進歩的でした。しかし、当時の沖縄で証券の発行・流通市場が機能していたかというと、そうではありません。これは、沖縄企業の特徴となっている同族的所有という共同体社会風土が然らしめるものです。琉球政府は、規制の政策評価を行い、規制の質の向上を図るべきでした。このことは、現在の政策立案者にも通ずることです。