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旬刊『経理情報』2024年8月1日号(通巻No.1717)情報ダイジェスト/会計


【会計】2027年4月1日以後開始事業年度の期首から適用か─ASBJ、リース会計専門委

去る7月10日、企業会計基準委員会は第152回リース会計専門委員会を開催した。
前回(2024年7月10日号(№1715)情報ダイジェスト参照)に引き続き、企業会計基準公開草案73号「リースに関する会計基準(案)」等に寄せられたコメントへの対応の方向性と個別事項について、審議が行われた。

■借地権の設定に係る権利金等に関する取扱い

第149回専門委員会(2024年6月10日号(№1712)情報ダイジェスト参照)等において、「借地権の残存価額の設定を認めるべき」との意見に対し、次の事務局案を示していた。

残存価額の設定を認める。ただし、実務上の困難さに対応するため、借地権の承継が行われる可能性を見込むことや借手のリース期間終了時に予想される譲渡価額を見積ることができない場合には、残存価額をゼロとみなすことができる定めを置く。

事務局案に対して賛否が聞かれていたため、今回、追加的な検討を行った。事務局は、「借地権の譲渡にあたり譲渡価額がある場合も想定されると考えられるため、残存価額の設定を認めることでどうか」と前回同様の事務局案を示した。
専門委員からは賛成意見が聞かれた。

■単体財務諸表への影響

⑴ 連結会社相互間のリースにおける借手のリース期間の決定
前回専門委員会(2024年7月10日号(№1715)情報ダイジェスト参照)において、連結会社相互間のリースにおける借手のリース期間の決定に関する簡便的な取扱いを設ける場合、「当該リースの借手が子会社であるならば、親会社が借手のリース期間の定め(本会計基準案29項)に従って決定した期間を借手のリース期間とすることができる」といった事務局案を提案していた。
この事務局案に対して、第528回親委員会で聞かれた「親会社の方針に従って子会社の会計処理を決定することは特段の定めを設けなくとも実務上行われるものと考えられる」との意見を踏まえ、事務局は、特段の手当てを行わないとする案を提示した。
専門委員からは、賛意が聞かれた。

⑵ 税法への影響に関する検討
本会計基準等の公表に伴い、現行の法人税法等が本会計基準に整合する形で改正されることや、改正されずに会計・税法で取扱いが異なることなどへの懸念が寄せられており、ビジネスへの影響や、納税申告におけるコストの発生、消費税法改正への影響においても懸念する声が聞かれている。
こうしたさまざまな意見が寄せられているなか、事務局は個別財務諸表に対する特別の措置を設けないとする案を変更しないことをあらためて示した。
専門委員からは、「わが国の会計制度は連単一致を採っているため、税務にどうしても影響を与え得る」として、リース料受取り時に売上高と売上原価を計上する方法(第2法)を認めるなどの措置を求める意見が聞かれた。
事務局は親委員会において審議すると回答した。

■適用時期

公開草案では、強制適用時期について、「20XX年4月1日[公表から2年程度経過した日を想定している。]以後開始する」連結会計年度および事業年度の期首と提案していた。
これに対して、最低でも3年や5年程度の準備期間を設けるべきである旨のコメントが寄せられていた。
事務局は、本公開草案が2023年5月に公表され、すでに1年を経過していることから、一定の周知期間があったとし、仮に2025年3月より前に最終化される場合、準備期間は3年に満たないが、2年よりも多く確保されることを踏まえ、2027年4月1日以後開始する連結会計年度および事業年度の期首から適用することとしてはどうかと提案した。
専門委員からは、「非財務情報開示対応のボリュームが膨らんでいるなかでは、3年は必要」との意見が聞かれた。
事務局は、「2年なのか3年なのかは決めかねる。親委員会にて審議する」と回答した。


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本記事は、旬刊誌『経理情報』に掲載している「情報ダイジェスト」より抜粋しています。
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