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【会計】コメント案提出に向け、議論急ピッチ─SSBJ

去る7月7日、同1日に設置されたサステナビリティ基準委員会(SSBJ)は第1回会合を開催した。第10回SSBJ設立準備委員会(2022年7月10日号(No.1649)情報ダイジェスト参照)に引き続き、IFRS S1号(以下、「S1基準案」という)とIFRS  S2号(以下、「S2基準案」という)に対するコメント文案について審議が行われた。

■ S1基準案

事務局はコメント文案において、外部の組織が公表する指針等について、ISSBが審議すべき対象は外部組織が公表した指針等そのものであり、その際に検討すべき規準(criteria)として次の3つを提案している。

⒜ 当該指針等に基づき提供される情報は、IFRSサステナビリティ開示基準の目的に合致しているか。
⒝ 当該指針等に基づき提供される情報は、S1基準案の付録Cにおける「有用なサステナビリティ関連財務情報の質的特性」を備えたものとなるか。
⒞ 当該指針等を開発するためのデュー・プロセスは適切に設定されており、遵守されているか。

この点、委員からの「規準を満たさなかった場合の対応に触れる必要はないのか」という意見に対し、事務局は「事細かに詳細を書かなくともよいと、まずは考えている」と回答した。
また、質問5「報告企業」に記載されているバリュー・チェーンについて、委員からは「守秘義務などとの関わりのなかで、取引先のデータ開示が難しくなるのでは」、「極めて重要なサステナビリティ情報。商業上の秘密等を利用した開示をしなくてよい等とあまりに広範囲に定めてしまうと、開示の実行性を阻害するかもしれない。仮にそう定めるとしても限定的にすべき」との意見が聞かれ、事務局は「多方面からの意見を踏まえ、総合的に検討する」と回答した。

■ S2基準案

前回の審議を踏まえた修正内容について、事務局より説明がなされた。たとえば、金融セクターにおけるファイナンスに係る排出およびファシリテーションに係る排出については、PCAF(金融向け炭素説明のためのパートナーシップ)基準についての取扱いに関して、実務において利用が広がりつつあり、かつ今後も拡大が見込まれることから、これを基礎とすることが効率的かつ効果的である点が明記される等の変更があった。
また、前回の委員会で異なる意見が聞かれた21項⒡⒤の内部炭素価格の開示のあり方については、該当がある場合には、企業が自身の排出コストの評価に用いている、温室効果ガスのメートルトン当たりの価格の開示を要求することが適切であるという意見と、任意開示項目とすることが適切だという意見の両論を併記する形に修正された。
この点、委員からは「内部炭素価格については、『ガバナンス』あるいは『戦略』のなかで項目を記載すべき。特に、内部炭素価格そのものの開示は、事務局意見にも記載されているとおり、さまざまな問題があると認識している。現時点での開示というのは時期尚早であり、開示要求事項とすべきではない」といった意見のほか、「『戦略』との関係性が非常に強いので、その旨をしっかりコメントに記載してほしい。意見が異なるのであれば、両論併記にならざるを得ない」との意見も聞かれた。

次回、第2回会合は7月21日に開催される。7月29日のコメント提出期限に向けて、これまでの審議を踏まえて意見がまとめられる予定。


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本記事は、旬刊誌『経理情報』に掲載している「情報ダイジェスト」より抜粋しています。
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