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【会計】借地権の取扱い、再検討─ASBJ、リース会計専門委

去る1月16日、企業会計基準委員会は第126回リース会計専門委員会を開催した。
主な審議事項は次のとおり。

■借地権の取扱い

第122回専門委員会(2022年11月10日号(No.1660)情報ダイジェスト参照)等の審議で出された意見を踏まえ、次の事務局再提案が示された。

⑴会計処理

借地権の設定に係る権利金等は、原則として、使用権資産の取得原価に含め、リース期間で償却する。
ただし、旧借地権または普通借地権の設定に係る権利金等については、使用権資産の取得原価に含めたうえで、改正前基準で償却していなかった場合、次のいずれかの方法により会計処理を行うことができる。

①改正リース会計基準の適用初年度の期首に存在する権利金等および改正後に発生する権利金等について償却をしない
②改正リース会計基準の適用初年度の期首に存在する権利金等については償却せず、改正後に発生する権利金等については、原則どおり、使用権資産の取得原価に含め、リース期間で償却する(経過措置)

⑵表示

借地権の設定に係る権利金等は、比較年度の財務諸表における表示も含め、企業が選択する使用権資産の表示方法に従って表示する。これに関連して、借地権の設定に係る権利金等の開示に関する「企業会計原則」における定めについて、改正リース会計基準が優先して適用される旨を会計基準の目的に追加する。

⑶注記事項

償却を行わない旧借地権または普通借地権の設定に係る権利金等については、貸借対照表において区分して表示するか、または、期末における当該権利金等が含まれる科目および当該権利金の残高を注記する。
また、当該権利金等については、現行の企業会計基準20号「賃貸等不動産の時価等の開示に関する会計基準」(以下、「賃貸等不動産時価開示会計基準」という)で求められている賃貸等不動産に関する注記事項の開示を引き続き求めることとする。

⑷改正前に計上された権利金等を償却する場合の経過措置

リース会計基準の適用時において、改正前に計上した旧借地権または普通借地権の設定に係る権利金等については、当該権利金等の計上日から償却したかのように帳簿価額で算定することができるが、リース開始日または算定された権利金等の計上日から償却したかのように算定した帳簿価額が適用初年度の前年度末における帳簿価額を上回る場合には、適用初年度の前年度末における帳簿価額を適用初年度の期首における当該権利金等の帳簿価額とする。

専門委員からは、「⑴のただし書きは不要では。選択肢が広がりすぎて、財務調整項目が長期間残ることに懸念。残存価額を決めればよい」という意見に、事務局から「残存価額の設定は難しく、毎期の見直しが必要となる」との回答がされた。
また、1月17日に開催された第494回親委員会でも審議され、委員からは事務局提案に賛成の意見が聞かれた。

■賃貸等不動産時価開示会計基準の改正

第123回専門委員会(2022年12月1日号(No.1662)情報ダイジェスト参照)等で出された意見を踏まえ、次の事務局再提案が示された。

⑴棚卸資産に分類されている不動産以外のものであり、賃貸収益またはキャピタル・ゲインの獲得を目的として借手が使用権資産の形で保有する不動産を賃貸等不動産の定義に含める。
⑵賃貸等不動産の定義を満たす使用権資産のうち、償却しないことを選択する旧借地権または普通借地権の設定に係る権利金については、時価の注記を求めるが、その他の使用権資産について時価の注記を任意とする。時価以外の項目については、使用権資産についても注記を求める。
⑶賃貸等不動産の貸借対照表計上額および期中における主な変動について、貸借対照表における表示科目との関係を明確にすることを求める。
⑷使用権資産の原資産が「投資不動産」である場合、固定資産のうちの「投資その他の資産」において「使用権資産」として区分して表示するか、「投資不動産」に含めて表示する。

専門委員からは、「⑵では、使用権資産の時価の注記が望ましいのでは」との意見があった。
また、1月17日に開催された第494回親委員会でも審議され、多くの委員からは事務局提案に賛成の意見が聞かれた。


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本記事は、旬刊誌『経理情報』に掲載している「情報ダイジェスト」より抜粋しています。
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