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【会計】ICOトークンに関する基準開発は事例の蓄積を待つ方向?─ASBJ、実務対応専門委

去る7月26日、企業会計基準委員会は第147回実務対応専門委員会を開催した。2022年3月15日に公表された「資金決済法上の暗号資産又は金融商品取引法上の電子記録移転権利に該当するICOトークンの発行及び保有に係る会計処理に関する論点の整理」(以下、「本論点整理」という)について、寄せられたコメントを踏まえて作成された事務局資料をもとに、今後の対応に関して議論が行われた。

■基準開発の時期およびICOトークンの発行者における発行時の会計処理に関する事務局分析

事務局は、仮に現時点で速やかに基準開発を行う場合には、ICOトークンに関する個々の取引の権利および義務の内容を踏まえて会計処理を判断するという原則的な取扱いを定めて、その取引内容に関する開示を要求する会計基準を開発するとの考え方を示した。
専門委員からは、「原則的な取扱いというのは、どのようなものを指すのか」との質問があり、事務局は、「より詳細に記載するのは現時点では困難であると分析している。そのため、権利義務の内容を踏まえ、各社で判断するとシンプルにまとめている」と回答した。
また、専門委員からの「会計処理の判断基準がないなかで、実務に委ねるような定め方をすると、会計基準ができても監査上の受入れが難しいのでは。どこまで明示することができるのか議論すべき」との意見に対して、事務局は、「記載できる点、記載できない点について検討するが、現時点で会計処理の原則のところで書き込むことは難しい」と答えた。
その他、専門委員からは、「第483回親委員会で挙がった意見のとおり、わが国が先行して基準開発を行った後、国際的な基準が開発された場合、再度わが国で基準開発を行うこととなってしまい、コストがかかることにもなりかねない。国際的な会計基準の開発動向を見極め、ずれがないように議論を進めていくべき」といった意見が聞かれた。

■現時点で速やかに基準開発を行うべきであるか否か

これまで聞かれた意見を整理したうえで、事務局はICOトークンについて、「内容の個別性が非常に高く、法律上で権利義務が明確になっていないなかで類型化することは非常に難しいと考えている」とした。それを踏まえ、現時点で速やかに基準開発を行うべきであるか否か、専門委員らに問うた。
専門委員からは、「開発を進めることに対して異論はない。ただ、今後の議論のなかで具体的に検討してほしい」との意見が挙がった。これに対して、事務局は「具体的な部分はやはりもう少し事例が積み重なってからとなる。タイミングなどを踏まえながら、事務局側で、現時点で何ができるかを考えつつ、引き続き検討を行っていく」と回答した。


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