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旬刊『経理情報』2024年7月20日号(通巻No.1716)情報ダイジェスト/会計・金融


【会計】ステップ4に関する金融機関代表者の意見、聴取─ASBJ、金融商品専門委

去る6月25日、企業会計基準委員会は、第221回金融商品専門委員会を開催した。
主な審議内容は次のとおり。

■金融資産の減損

第218回専門委員会(2024年6月10日号(№1712)情報ダイジェスト参照)に引き続き、ステップ4(信用リスクに関するデータの詳細な整備がなされていない金融機関に適用される会計基準の開発)に関する検討が行われた。
今回は、ステップ4を採用することが見込まれる金融機関の代表者(全国地方銀行協会、第二地方銀行協会)より、これまで審議されてきた次の事務局提案に関する見解や意見の説明が行われた。

⑴ 債権単位での信用リスクの著しい増大の判定(SICR)
次のような意見が聞かれた。

●正常先に区分される債務者に対する債権等のSICRの判定は、アプローチ2(一律にSICRが生じていたとみなす)が地域金融機関実務とより整合的である。アプローチ1(正常先を3つに区分)が実質的にアプローチ2を内包するものであるならば、アプローチ1も現行実務に配慮したものと理解している。
●「その他要注意先」以下でも債務者単位でのアプローチを許容してほしい。
●「1-3年ルール」(正常先債権、一般要注意先債権は1年、要管理先債権は3年分の貸倒損失額をベースに算定する)のような簡便的な枠組みも必要ではないか。

⑵ 債券に対する引当金の計上
次のような意見が聞かれた。

●分類・測定の議論が行われていないなかで、満期保有目的の債券およびその他有価証券に分類される債券を引当金の計上対象に決定するのは、時期尚早である。

⑶ 複数シナリオの考慮を含めた結果の確率加重
次のような意見が聞かれた。

●将来予想シナリオのみを考慮することを認める方向に賛成である。
●多くの銀行が保有する「貸倒実績率」を活用した具体的な引当金算出方法、合理的な将来予測モデルが構築できない場合の将来予測の考慮方法の検討・提示をしてほしい。

⑷ その他
次のような意見が聞かれた。

●今後の引当金の算定の議論において、簡便な引当金算定の観点から、貸倒実績率の活用方法を検討してほしい。

専門委員からは「正常先のSICRは、アプローチ1でも必ず3区分とするのではなく、区分を企業の判断に委ねるのが適当」、「貸倒実績率を利用できるかについて、論点などを整理したほうがいい」等の意見が聞かれた。

【金融】サステナビリティ開示基準、義務的開示の優先へ─金融審議会サステナ情報開示・保証WG

去る6月28日、金融庁は第3回金融審議会サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループ(座長:神作裕之・学習院大学大学院法務研究科教授)(以下、「WG」という)を開催した。

■サステナビリティ開示基準のあり方および適用対象・適用時期

プライム市場上場企業へのサステナビリティ開示基準の適用対象・適用時期について、前回(2024年6月10日号(№1712)情報ダイジェスト参照)会議を踏まえ、次の方針が示された。

① 時価総額3兆円以上の企業は、2027年3月期より義務化
② 時価総額1兆円以上の企業は、2028年3月期より義務化
③ 時価総額5,000億円以上の企業は、2029年3月期より義務化
※前記①~③の義務化初年度は二段階開示(後述)を可能とし、2年目より同時開示(保証付き)。
●プライム全企業を対象に203X年に適用義務化

委員からは、保証との同時開示よりも早期の義務的開示を優先する方針に賛意が聞かれた一方、プライム全企業への適用に関しても具体的な年月を提示すべきという意見も聞かれた。

■二段階開示、同時開示の方法

ISSB基準において、報告初年度は二段階開示が認められていることから、わが国においても法定適用の初年度は、有報で一段階目の開示を行い、その後、有報の訂正または半期報告書により、サステナビリティ開示基準に準拠するために必要な事項を追加開示する二段階開示を容認し、2年目以降は同時開示とする方針を示した。
また、実務負担を考慮し、制度保証を受けて有報にすべて記載する場合(同時開示)には、提出期限を事業年度終了後3カ月から4カ月に延長することを検討してはどうかと提案した。
委員からは、二段階開示についておおむね賛同の意見が聞かれたものの、同時開示する場合に提出期限を延長する案には、「それに伴う諸問題を検証すべき」と慎重な声が聞かれた。

■海外に向けた情報開示の本邦での開示情報

事務局は、欧州CSRD等の海外制度に基づくサステナビリティ情報の開示を海外に向けて行った場合には、日本の投資家に対しても確実に情報提供されることを確保することが重要であるため、臨時報告書による提出を求めることを提案した。
委員からは賛意も聞かれたが、「有報でサステナビリティ開示を行っているのにもかかわらず、海外の別の基準に則って開示した場合には日本でも開示を求めるのは過度な要求では」と反対する意見も聞かれた。

■保証制度の導入における論点

事務局は保証制度を導入するにあたって、サステナビリティ保証の範囲や水準、保証業務の担い手等について意見を求めた。
委員からは、担い手について「公認会計士以外も含めるべき」という意見が多く聞かれたが、公認会計士以外が担うことで「開示に時間がかかったり保証の範囲が狭まったりしてはいけない」との声が聞かれた。


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本記事は、旬刊誌『経理情報』に掲載している「情報ダイジェスト」より抜粋しています。
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