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【立ち読み】『事例でわかる!NFT・暗号資産の税務』|書籍紹介

暗号資産・NFT(ノンファンジブルトークン)の税金計算について事例を中心に解説。税金初心者でもわかる基本的な事例から、DeFiやSTEPNなどの応用事例もカバー。Web3.0時代の税金対策に必携の1冊。
本記事では、「はじめに」と目次をご紹介します。

『事例でわかる!NFT・暗号資産の税務』立ち読み

泉 絢也・藤本 剛平 著『事例でわかる!NFT・暗号資産の税務』の「はじめに」を掲載しています。

2022年3月30日に,自由民主党デジタル社会推進本部NFT政策検討プロジェクトチーム(座長:平将明議員)が「NFT ホワイトペーパー(案)Web3.0時代を見据えたわが国のNFT 戦略」を公表しました。

このホワイトペーパー案は,Web3.0(ブロックチェーン技術等を活用した分散型のウェブ社会。GAFA に代表される巨大プラットフォーマーのような中央管理者が不在で,個人がデジタル資産やデータを保有・管理する段階として位置付けられる。Web3と呼ぶ場合や異なる意味を持つ語句として両者を使い分ける場合もある)時代をけん引する可能性がある重要なツールとして,NFT(Non-Fungible Token),暗号資産,DAO(Decentralized Autonomous Organization;分散型自律組織),DeFi(Decentralized Finance;分散型金融)に着目しています(ホワイトペーパー案の提言内容は,翌月26日付の同本部「デジタル・ニッポン2022─デジタルによる新しい資本主義への挑戦─」に組み込まれています。その後,政府は,骨太の方針2022において,ブロックチェーン技術を基盤とするNFT やDAO の利用等のWeb3.0の推進に向けた環境整備の検討を進めると発表しました)。

ホワイトペーパー案は,表題ともなっているNFT を,ブロックチェーン上で発行される唯一無二(非代替)のデジタルトークン(証票)であるとしたうえで,改ざんが困難なブロックチェーン上でデジタル資産の唯一性とその取引の真正性を証明できる特徴を使い,デジタル資産に希少性を持たせ,経済価値を飛躍的に高めるものであるとしています。

実際,NFTの登場により,デジタル資産の取引が活発になっています。2021年はわが国でNFTの流行が始まった年であったといってよいでしょう。日本のクリエイターやアーティストが世界最大のNFTマーケットプレイスであるOpenSeaに作品を多数出品しましたし,日本発のNFTマーケットプレイスも複数立ち上がりました。

アート,ゲームアイテム・キャラクター,不動産,会員権等を含む様々な物又は権利等をNFT化して販売するなどNFT関連のビジネスに携わる企業も徐々に増えていますし,一般の方々もNFTを購入し,Twitterのアイコンにしたり,仮想空間で利用したりするなどして,楽しんでいます。STEPN(NFT であるスニーカーを入手して,移動したり,これを売ったりすることで稼ぐことができるブロックチェーンないしNFT ゲーム)などNFT を利用したブロックチェーンゲーム(GameFi,Play to Earn)も人気です。

NFTの購入代金や購入手数料は,通常,ETHなどの暗号資産によって支払われるため,これまで暗号資産を保有していなかった個人も暗号資産を購入し,利用するようになりました。NFTの普及により,暗号資産の実需が増え,暗号資産のユーザー層も広がりを見せています。

もっとも,上記のツールが日本で発展を遂げるためには,その税務上の取扱いが明らかにされ,時には法整備がなされることが求められます。暗号資産の税金については,部分的に法律でルールを定めており,国税庁がガイダンス(FAQ)を公表しています。他方,NFTの税金について特別に定めた法律はありません。国税庁がNFTに関するタックスアンサーを出していますが,その内容は薄く,説明不足です。上記のFAQとタックスアンサーは,いずれも現在行われている取引を十分にカバーできてはいません。

一般の方々は,税の専門家であれば,暗号資産やNFTの税金の取扱いについて,すぐに明確な回答を出すことができると思われるかもしれません。しかし,それは実際には難しいことです。

例えば,税の専門家は,暗号資産,NFT,DeFiの税金の取扱いについて答えるためには,その取引や仕組みから勉強しなければならないでしょう。正しい税金の取扱いは基本的に私法上の取扱いを前提として導き出されることが多いため,これらの私法上の法律関係を考慮する必要もありますし,時には規制法との関係や技術的なことも検討しなければなりません。そこまでしてもなお,税法や国税庁のガイダンスにはっきりと書かれていないこれらの税金の取扱いについて専門家として回答を示すことは,場合によっては非常に困難です。

このように,専門家でも回答に迷うことがめずらしくないにもかかわらず,暗号資産やNFTを取引している納税者は確定申告をしなければなりません。日本の税制は基本的に,第1次的に納税者自身が税金の計算と申告・納税をする制度(申告納税制度)を採用しています。計算に誤りがある,無申告であるなどの場合に税務署が税務調査と課税処分を通じて納税者の税額を決定することになりますが,このような税務署の役割は第2次的なものにすぎません。

このような現状を目の当たりにした私たちは,暗号資産やNFT 関係の税金の申告実務を得意とする税理士(藤本剛平TwitterID:@suika3111)とその税制の研究者(泉絢也TwitterID:@taxlaw17)として,申告実務や事業計画の作成に役立つような知見や情報を提供したいと思い,本書を刊行することにしました。

本書では,NFT,暗号資産,DeFi に関する税務上の取扱いを解説し,Web3.0時代に有益な税金に関する情報や知識を織り込んでいます。本書の内容は「暗号資産(仮想通貨)の税金について本気で考えてみた」などのタイトルで私たちが共同運営しているnote のブログ(https://note.com/cryptotax)記事をベースとしつつ,ブログ未掲載の内容も随所に記載しています。

本書は3部構成となっています。第1部では,暗号資産とNFT の税金の取扱いを知るうえでまず知っておきたい各税法の概要と暗号資産に関する特別の定めを簡単に説明します。また,暗号資産やNFT の税金の問題のうち,やや詳しい解説を必要とするものについて,個別論点として取り上げます。

第2部は,暗号資産とNFT の事例問題と解説です。事例に基づく税金の計算がメインとなりますが,理解を深めるための詳しい解説や実務で役立つ知見もちりばめています。

第3部は,確定申告準備・税理士依頼編として,暗号資産・NFT の損益計算や確定申告を行うに当たり,必要となる事項や有益と思われる事項のうち重要なものを解説します。

本書が想定する読者は,一般の個人の納税者のほか,NFT アーティスト,NFT クリエイター,企業,起業家,投資家,ベンチャーキャピタル,税理士,税務職員の方々です。

紙幅の都合上,暗号資産やNFT に関する取引や用語の一般的な説明,資金決済法や著作権法など他の法分野の取扱いについてはほとんど触れていません。ただし,これらに関する難解な税金の取扱いについて,できる限り平易な文章で,かつ,他では見られないような一歩踏み込んだ解説をしています。

国税庁の公式の見解が出ておらず,法的な議論も未成熟である論点について,あえて見解を示しています。このことをご理解いただき,実際の税務処理・申告については税理士にご相談ください。本書を通じて,暗号資産やNFTを含むWeb3.0関係の税金に係る申告やWeb3.0関係の事業を行う方々のお役に立てることを心から願っています。

最後に,本書の出版に当たっては,株式会社中央経済社の牲川健志氏に多大なご助力を賜りました。ここに深く感謝申し上げます。

 2022年8月

泉 絢也
藤本 剛平

泉 絢也・藤本 剛平 著『事例でわかる!NFT・暗号資産の税務』の「はじめに」を掲載しています。

「暗号資産(仮想通貨)の税金について本気で考えてみた」他

本書のベースとなった「暗号資産(仮想通貨)の税金について本気で考えてみた」等の記事は、こちらからご覧いただけます。

本書の目次

第1部 理論編

1 暗号資産、NFTなど「新入り」の取引に対しても税金は課されるのか?
2 所得税と暗号資産・NFT
3 法人税と暗号資産・NFT
4 消費税と暗号資産・NFT
5 相続税・贈与税と暗号資産・NFT
6 補足① 暗号資産の所得区分と期末時価評価課税
7 補足② NFT取引に係る課税上の着目点、電気通信利用役務の提供及び源泉徴収の問題

第2部 事例解説編

暗号資産関係:所得税・法人税
事例1 暗号資産取引の所得区分
事例2 暗号資産を日本円で売却
事例3 暗号資産同士を交換(利益が出るケース)
事例4 暗号資産同士を交換(損失が出るケース)
事例5 暗号資産による支払い(商品、サービスの購入、給与の支払い)
事例6 確定申告(2022年に事例2~事例5の取引をしていたケース)
事例7 総平均法の計算事例
事例8 移動平均法の計算事例
事例9 マイニング報酬、ステーキング報酬、レンディングによる利息
事例10 エアドロップ・giveawayで暗号資産を受領
事例11 ウォレットに勝手にコインが送られてきた場合(詐欺コインの取扱い)
事例12 暗号資産を相場より著しく低い価額で譲渡
事例13 暗号資産を無償で譲渡(贈与、giveaway、寄附)
事例14 個人が暗号資産を現物出資して法人設立
事例15 暗号資産の廃品回収サービスの利用
事例16 暗号資産の取得価額(対価を支払って暗号資産を取得(購入)したケース)
事例17 暗号資産の取得価額(事例18以外で贈与又は遺贈により取得したケース)
事例18 暗号資産の取得価額(相続人に対する死因贈与、相続、包括遺贈又は相続人に対する特定遺贈により取得したケース)
事例19 暗号資産の取得価額(暗号資産同士の交換をしたケース)
事例20 暗号資産の取得価額(マイニング報酬、ステーキング報酬、レンディング報酬、エアドロップ・giveaway、分岐・分裂で暗号資産を受け取ったケース)
事例21 DEXに流動性を供給
事例22 LPトークンをステーキングして、ステーキング報酬を取得
事例23 ラップ・アンラップした場合
事例24 不正送信(ハッキング)被害に遭った暗号資産交換業者から暗号資産に代えて金銭の補償を受けた場合
事例25 暗号資産と国外転出時課税の適用
事例26 暗号資産FXで損益が出た場合

暗号資産関係:相続税
事例27 秘密鍵の紛失と相続税
事例28 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例の適用

暗号資産関係:法定調書
事例29 財産債務調書への記載
事例30 財産債務調書への暗号資産の価額の記載方法
事例31 国外財産調書への記載

NFT関係
事例32 NFTの譲渡と所得区分
事例33 NFTの譲渡(売却)・二次流通のロイヤリティ収入
事例34 NFTの取得価額(NFTを暗号資産等で購入)
事例35 時価のないNFTをエアドロップ・giveawayで取得
事例36 時価のあるNFTをエアドロップ・giveawayで取得
事例37 NFTの時価
事例38 NFTを消費し、何らかのサービスを受けた場合
事例39 NFTの無償提供等(giveaway・廃品回収サービスの利用)
事例40 NFT同士の交換
事例41 NFTを新たに発行(mint)
事例42 BCGアイテムやキャラクターを新たに作成・発行(mint)

第3部 確定申告準備・税理士依頼編

1 用意しておく資料
2 利用する取引所やDappsの選び方について
3 年末までに「必ず」やっておくこと
4 暗号資産・NFTの損益計算ソフトの選び方
5 損益計算の流れ(概要)
6 自分で損益計算を簡便かつ無料で行う方法
7 税理士に依頼する場合

Column

暗号資産の「評価」の意義と居住者が年の中途で死亡又は出国し
た場合の取扱い
暗号資産やNFT の所得と必要経費
譲渡原価の計算の基本的な考え方
暗号資産の譲渡と所得の計上時期
ICO で暗号資産を取得した場合の考え方
自分が所有するウォレット間で暗号資産・NFT を移動させた場

年20万円以下の利益は非課税?
総平均法とは
移動平均法とふるさと納税による節税
総平均法と移動平均法のまとめ(どちらがオトク?)
暗号資産の取得価額の端数処理で節税?
詐欺コインとダスティング攻撃
個人事業主であるNFT クリエイターが法人を設立する(法人成
りする)場合
相場下落時の対応について
暗号資産の取得価額がわからない場合の対応は? 5%通達によ
る節税は可能?
流動性供給と貸借の課税イベントの考え方
レバレッジトークン
スカラーシップ報酬
STEPN の処理
事業主の取引所・ウォレット管理について
確定申告・納税 Tips

著者紹介

泉 絢也(いずみ じゅんや)
千葉商科大学商経学部准教授、中央大学ビジネススクール非常勤講師。
一般社団法人アコード租税総合研究所研究顧問。
早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。博士(会計学・中央大学)
国内の課税問題や各国の税制との比較など、暗号資産の税制に関する書籍や論文多数。NFTと課税、AIと租税法の研究にも従事。

藤本 剛平(ふじもと こうへい)
税理士。カオーリア会計事務所代表。
武蔵野美術大学映像学科卒業。
大阪経済大学大学院経営学研究科卒業。
品川区役所に勤務後、税理士法人KTS、CREST税理士法人勤務を経て独立。
暗号資産・NFT専門税理士として、全国の個人・法人を対象に税務サービスを提供。
ウォレット数2500個超保有者や取引件数30万件超の方の取引をはじめとする様々な暗号資産・NFTの損益計算・確定申告実績を有し、暗号資産・NFT税金セミナー講師や暗号資産・NFT損益計算サービスCryptoVision の開発助言にも携わる。

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