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【会計】パーシャルスピンオフの税効果会計、検討─ASBJ

去る6月26日、企業会計基準委員会は第504回企業会計基準委員会を開催した。
主な審議事項は次のとおり。

■金融商品の減損

第202回金融商品専門委員会(2023年7月10日号(No.1682)情報ダイジェスト参照)に引き続き、ステップ2を採用する金融機関における開示についての検討の進め方について、審議が行われた。

⑴ 基本的な方針

事務局から次のような基本的な方針案が示された。


  • 開示目的を定めるアプローチを採用し、IFRS7号「金融商品:開示」で要求される開示をすべて取り入れて、整合的なものとする。

  • これまでの審議で、IFRS9号「金融商品」の定めを取り入れないとした項目(例:条件変更)については、原則として、IFRS7号の開示に関する定めを取り入れない。


⑵ 個別検討事項等

「金融商品のクラス別の期首残高から期末残高への調整表」などの項目について、個別に検討が必要な項目として取り上げる。
また、実務対応報告18号に基づき在外子会社の財務諸表が米国会計基準に準拠して作成されている場合の開示への影響について検討を行う。

委員からは、事務局案への賛意が多く聞かれた。また、「在外子会社への米国基準の準拠については、書き込む範囲をどこまでにするか慎重な検討を」との意見が聞かれた。

■パーシャルスピンオフ

第105回企業結合専門委員会(2023年7月10日号(No.1682)情報ダイジェスト参照)に引き続き、株式分配実施会社に一部の持分を残す株式分配を行った場合における株式分配実施会社の税効果会計について、審議が行われた。
事務局は、現実に発生可能性が高いと考えられる「支配を喪失して関連会社にも該当しなくなった場合(例外的な取扱い)」の会計処理について、個別財務諸表および連結財務諸表のいずれにおいても適正な帳簿価額で配当したとして会計処理し、現物配当に係る損益を計上しない処理を提案している。
この処理に関して、税効果会計では子会社に対する投資に係る連結財務諸表固有の将来減算一時差異に係る繰延税金資産の会計処理が論点となり、税効果適用指針22項で連結上繰延税金資産を計上する要件である、「子会社株式を配当する意思決定または実施計画が存在する場合」につき、次のような事務局案が示された。


  • パーシャルスピンオフの要件を満たさず税制非適格となる→繰延税金資産を計上し、子会社株式を配当した時点で相手勘定を法人税等調整額として取り崩す。

  • パーシャルスピンオフの要件を満たし税制適格である→繰延税金資産を計上しない。


委員からは、事務局案に異論は聞かれなかった。


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