データ分析キャリア論: 確定申告を爆速化したら、BPRがみえた!|【連載】データ分析のログハウス(第11回)
旬刊経理情報連載
「データ分析の森」ガイドマップ番外編
みなさん、こんにちは。
遠藤武(えんどう・たける)です。
(私の活動や発信については、 https://boxcox.net/et をご覧ください!)。
あれ?今日は「データキャラのクマさん」の姿が見えないですね…?
確定申告が終わって、新年度を迎え、ひと段落したタイミングですね!
みなさん、疲れているでしょうけども、
その「疲れないための振り返り」も兼ねて、
・確定申告がなぜしんどいか?
・経理のデジタル化目線と掛け算し、解決策を模索する
という形で、日々の仕事と次の確定申告に向けて、掘り下げてみましょう!
デジタル化は、データ分析の足腰でもありますからね!
自分の確定申告が不要な立場の方でも、
これから独立したい会社員の方でも、
あるいは次の確定申告に備えたい方でも、
「データ分析やデジタル化のなかにある確定申告は、こんな具合!」
という気楽なスタンスで、読んでくださいね。
(注意:今回の記事は税務や法律が関わります。記事内容は税務そのものや法改正や確定申告そのものに直接関わらないものにとどめていますが、実際に確定申告をする場合や、独自にデジタル化を進める場合は、専門家の助言を受けることを強くおすすめします)
確定申告は、なぜしんどい?
確定申告とは、
1年間の収入(売上)と経費を計算して所得を算定する
所得税(と消費税・住民税・事業税…)を算定し、しっかり納税する
というプロセスです。
これがなぜしんどいのか?
しんどい理由は、
・証憑(レシートなど)の保管や帳簿作成といった作業の細かさ
・帳簿作成のルール(税法や会計基準)の複雑さ
・これらの学習コストの高さ
・学習コストが高い割に本業と関係せず
・本業と関係しないが順守する必要あり…
…という「しんどい」の無限ループにあると考えます。
その結果、多くの人が申告期限に追われながら、
証憑は揃っているか?
不慣れながらちゃんと算定できているか?
期日までに終わるか?
という点に、ドキドキしつつ作業を進めることになります。
これらを総合すると、
個人の確定申告がしんどい理由は、
技術的にも、時間的にも精神的にも負担が大きいためだといえますね。
では、これを絵で表すと?
以下の状況に近いはずです。
少しでも会社で働いたことのある方なら、
「これはしんどい・・・」と実感するのではないでしょうか?
一般的な経理は、こんなイメージがあるのではないでしょうか。
企業のデジタル化と同じ方法で、確定申告を爆速化できる!
まさに、おたんさんが指摘したところなんですよね。
一方、
確定申告の「しんどい…」に際して、
「デジタル化で解決してしまおう!」というケースが多く出てきています。
思いつく限り挙げると、
マネーフォワード、freee、弥生会計…と、
個人事業主でも企業でも、
デジタル化・クラウド化で、
作業の手間を大幅に削減できるツールが出ていますね。
この最大のメリットは、何でしょうか?
事務処理の時間を短縮できる、申告書作成の際の計算ミスを減らせる、電子申告(e-Tax)の利用で紙ベースの書類提出から解放される…という模範解答は多数ありますから、そうではない実録からいきましょうか。
筆者の実体験・実録からは、
先に挙げた「しんどさ」について
・証憑(レシートなど)保管や帳簿作成準備の作業の細かさ…から解放される!
・事実の把握が爆速化できる!
という点につきます。
例を挙げると、
・クレジットカードやネットバンキングの利用履歴データや、発行した請求書から、自動で仕訳が切られる
→手入力の必要なし(※ごく一部の勘定科目の調整だけ必要に応じて行うケースあり)
・スマホでレシートを撮影しその場でインボイスと電子帳簿保存法の要件を満たせる
・オンライン取引の領収書や請求書がメール転送やドラッグ&ドロップで済む
→手入力不要で金額とインボイス番号・企業名を自動で検証してくれる
(別途、「電子帳簿保存法の規定」のテンプレート等を用意する必要があります)
といったものがあります。
筆者は、紙の書面処理も過去に数年やっていました(大手製造業のSCMでそのように動いていました)。
そのときの経験から考えると、
ついつい前倒しで受け取った請求書のメールを転送し、
ついつい前倒しで電子帳簿化していったら、
「1件あたり5分かかっていた事務処理が、デジタル化で5秒で終わった!」
という爆速ぶりは、控えめにいって、ものすごい快感です。
「ピッ!」とチェックして完了!とか、
あるいはスマホで撮影して完了!というように、
すべて爆速で完了することが、
デジタル化の恩恵ということなんです!
BPRしよう!
実のところ、
以下のような「ERP」を軸にしていくと、
デジタルの仕組みで事実を把握することになるので、
もともと面倒だった物事を再構成して効果的にするという、
「BPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)」の発想にも行き着きますね。
デジタルの仕組みに乗せていくと、データで事実を把握できるだけでなく、物事を効率化することにもつながり、それは「BPR」の発想にも行き着くんです。
たとえば、
・処理が楽なクレカ払いにしよう(クレカ払い→スマホでレシートを撮影!→会計ソフトにアップロード)
・書類が出てこないpdfだけのやり方に変えよう(クレカ払い→メールでpdfのレシートが届く→メールで会計ソフトに転送!)
というものが挙げられます。
以下は、著者がデジタル化について講演した際に、
・書類が出てこないpdfだけのやり方に変えよう(クレカ払い→メールでpdfのレシートが届く→メールで会計ソフトに転送!)
というものが挙げられます。
以下は、筆者がデジタル化について講演した際に、
「会計まわりのSaaSのつなげ方想定」
を書き表したものです。
いろいろなアプリがありますが、実際に何を使うかはさておき、
なんらかのAPI連携ができるものを使ったほうがラク
という発想が基本です。
(アプリの開発企業の都合で、特定のアプリ同士のAPI連携が中止されるケースもありますが、それでも自動化や連携を想定したほうがメリットが大きいです)
これは筆者も普段からお世話になっており、
以前に紙の証憑(請求書など会計のエビデンス)の山に埋もれていた経験からすると、ついついスカッとするほど画期的です。
もともと経理は手作業が多くなりがちでしたが、手作業をコンピュータで束ねてしまえば、それは立派な「BPRというものつくり」であり、「組織作り」にもつながりますね。
経理は、確定申告からBPRを見通せると、
「作る側」として大活躍できる…ということにもつながるんです。
そうやってみていくと、
プログラミングや生成AIの活用で、
経理のドメイン知識を活かし、
しんどい事務処理を効率化する便利なツールやサービスを作っていく!
ができれば、文字どおり「ドメイン知識を使った唯一無二の作る側」に回れてしまいます。
「AIに仕事が奪われる!」
「現にもう奪われてしまった…」
という不安の声もあちこち聞こえています。
その対応策はとてもシンプルで、
「誰のどんなお悩み解決に貢献できる?」
という話に行き着きます。
それでも「やっぱり不安だな…」という物事があれば、
お気軽にログハウスのドアをノックしてくださいね。
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バックナンバー
第1回 ログハウスができたよ!
第2回 「データ分析の人材市場」を分析したよ!(※属性つき)
第3回 FP&Aが「つまらない」は本当?
第4回 リスキリングの本質って何?
第5回 ゼロから始める事業立上げ 財務モデリングを超シンプルに!
第6回 「データない問題」に立ち向かう。
第7回 「データキャラ」は「データ分析キャラ」?
第8回 キャリアアップの方向性を探ろう!
第9回 ドメイン知識ってなんだ?
第10回 異分子であれ!FP&CFO単独のキャリアは、もはや限界⁉
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