【初心者向け】RPA業務自動化、最初はここから!
芳野 剛史
グッドフィールドコンサルティング代表
RPAに興味があっても、何から手をつければよいかわからない人も多いかと思います。いきなりベンダーに相談するのも気が引けるし、そもそも自社に効果があるのかも最初はわかりません。まずは自分なりに検討してみようと思った場合、さて何から始めればよいでしょうか?
ここでは、手っ取り早く検討するための3つのステップを紹介します。
ステップ1.基本的な4つの適用パターンを理解する
RPAはさまざまな定型業務に適用されていますが、その使われ方は基本的に4つのパターンに集約されます。このパターンを押さえたうえで自社への活用方法を検討することが近道となります。このパターンとは、①転記、②資料作成、③メール連絡、④Web連携の4つです。
1.転記
RPAが最もよく使われるパターンは転記です。一例としては、顧客からの注文情報を、自社の販売システムに入力する作業です。同様に会計システムや勤怠管理システムなど、事務には多くの入力作業があるはずです。
2.資料作成
企業では管理のために数多くの資料を作成しています。たとえば営業部門では案件情報、受注情報、売上情報などを週次や月次でレポートにまとめ、営業会議などで使用しているはずです。
3.メール連絡
定形業務の1つにメール連絡があります。たとえば注文を受けた顧客に受付のメールを送ったり、納入期日が決まった際に日程を連絡したりします。また社内においても、さまざまな定形のメール業務があるはずです。
4.Web連携
最近はWebを利用する業務も多くなっています。たとえば交通費精算の業務では、申請書の請求金額を確認するために、経理担当がYahoo!路線情報などの路線情報サイトを利用して金額をチェックします。
ステップ2.自動化できそうな業務を洗い出す
RPAの適用パターンを理解したうえで、今度は自社の業務を調べてみます。自社の全業務を調べ上げる必要はありません。まずは自分の部署だけで構わないので、いわゆる定型業務といえる業務を洗い出し、エクセルの表にまとめればよいでしょう。
定形業務の全てがRPAで自動化できるとは限りません。あくまでパソコンでの作業が対象であり、明確なルールが存在しなければなりません。4つの適用パターンを参考に、自動化できそうかを判断していきます。
業務の洗い出しでは、現状の作業時間も書いておきます。これは後に自動化の効果を計算するためです。エクセルの表に「20時間/月」といったかたちで、現在かかっている作業時間を記入しておきます。
ステップ3.導入効果を算出する
最終的には費用対効果にもとづいてRPAの活用可否を判断することが適切です。もっともスピード重視で「とりあえずやってみよう」ということでも構いませんが、RPA導入には時間と費用もかかるので、ざっくりでも費用対効果を把握するほうがよいでしょう。
ここでは簡易的に算出することをおすすめします。具体的には各業務が自動化によってどれくらい時間が削減されそうかを担当者に推定してもらいます。ざっくり「半分くらい」という感覚で構いません。これらの削減時間を合計し、労務費の時間単価を乗じて効果を算出します。
費用についてはベンダーにRPAのライセンス料を出してもらいます。開発を外注する場合はベンダーに概算見積りも依頼します。社内で実施する場合は開発費をゼロとしてよいでしょう。その他、パソコンやトレーニングなどの追加費用があれば含めます。
これで費用対効果に必要な情報がそろいました。費用対効果は一般的に5年程度の累積で計算します。これをもってRPA導入の判断を行えば、検討が一気に進むのではないでしょうか。
以上、3つのステップを簡単に紹介しました。恐らく2~3カ月あれば費用対効果まで算出できると思います。
もう少し詳しいことが知りたい方はこの本をご覧ください。
著者紹介
芳野 剛史(よしの・つよし)
グッドフィールドコンサルティング代表。米ペース大学経営大学院 修士課程修了(MBA)。
PwCコンサルティング戦略グループディレクター、デロイトトーマツコンサルティング執行役員パートナーを経て現職。
経営戦略、経営管理、予算管理、海外進出、業務改善等の戦略/ビジネスコンサルティングに20年以上にわたり従事。現在は個人事務所グッドフィールドコンサルティングを設立し、経営アドバイザーとしてトップマネジメントを支援している。
著書に『不況を勝ち抜く予算管理ガイドブック』『海外進出のためのフィージビリティスタディ』、『実践Q&A 予算管理のはなし』(いずれも中央経済社刊)など多数。