【会計】信託への投資に関する取扱いの検討─ASBJ、金融商品専門委
去る2月14日、企業会計基準委員会は第195回金融商品専門委員会を開催した。
第494回親委員会(1月17日開催)(2023年2月10日号(No.1668)情報ダイジェスト参照)等で満期保有目的の債券等に分類される債券について予想信用損失モデルを適用する提案に対し、債券をファンド化している投資信託等の取扱いを検討すべきとの意見が聞かれた。これを踏まえ、信託への投資に対する予想信用損失モデルの適用について、審議が行われた。
■事務局提案
事務局からは金銭の信託において委託者兼当初受益者が単数であるか複数であるか、また金銭の信託か金銭以外の信託であるかに分けたうえで、A~Eの分類を適用するという次の案が示された。
⑴金銭の信託において委託者兼当初受益者が単数の場合
A:運用目的の金銭の信託
現行の取扱いを維持し、信託財産構成物である債権は予想信用損失モデルに基づく貸倒引当金を控除した額をもって当該金銭の信託の貸借対照表価額が算定され、その評価差額は当期の損益として処理する。
B:満期保有目的の金銭の信託
信託財産構成物である金融資産(満期保有目的の債券)に対する予想信用損失モデルに基づく引当の合計額をもって当該金銭の信託に対する引当を測定する。
C:その他目的の金銭の信託
信託財産構成物が貸付金等の債権または債券である場合、予想信用損失モデルに基づき、引当の測定もしくは減損利得/減損損失の当期損益への処理を行う。一方、信託財産構成物が株式等の場合、現行の株式等に関する減損判定を行う。
⑵金銭の信託において委託者兼当初受益者が複数、もしくは金銭以外の信託において受益権が質的に異なるものに分別されているまたは受益権者が多数の場合
D:信託受益権の性質による分類
次のように分類する。
E:A~D以外
総額法により信託財産を持分割合に応じて直接保有する場合と同様に取り扱うことから、個別の定めは設けず、現行の取扱いを維持する。
■専門委員の意見
専門委員からは、特にD区分となる債権等について、「その他目的のなかに新たな区分を作ることとなり、より複雑化するのでは」といった意見などが多く出たほか、「金利が下がっているときはよいが、金利上昇局面では想定以上の価格下落が起こるのでは」といった懸念が示された。
■親委員会の審議
去る2月20日開催の第496回親委員会でも本テーマが審議され、委員からは「 D①の代替的な取扱いは、実体を表していないのではないか」などの意見
が聞かれた。
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