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【会計】貨幣の時間価値の考慮、検討─ASBJ、金融商品専門委

去る7月25日、企業会計基準委員会は第184回金融商品専門委員会を開催した。金融資産の減損の会計基準の開発に関し、ステップ2で検討する論点のうち、信用リスクの見積りにおける貨幣の時間価値の考慮について、検討された。

■事務局提案

ステップ2でIFRS9号「金融商品」の定めをそのまま取り入れた場合、予想信用損失の測定に関する原則として、見積手法にかかわらず貨幣の時間価値を考慮することが要求される。しかし、日本基準ではDCF法を用いる場合を除き、貨幣の時間価値は考慮しておらず、これまでの議論において、IFRS9号の定めをそのまま取り入れた場合の実務負担を懸念する意見が挙がっていた。

⑴ 定めの取り入れ方

IFRS9号では、割引率は当初認識した実効金利またはその近似値を用いること、割引期間は期末まで行うことが求められている。他方、日本基準では基本的に債権の測定に実効金利法は適用されておらず、利息収益は約定利子率に基づき認識・測定され、債権の貸借対照表価額は債権額面で計上される。
そのため、割引率に関する考えを取り入れるうえでは、IFRS9号の債権の測定(実効金利法による償却原価測定)の取扱いとセットで検討する必要がある。この点、債権の測定に関する定めも含めたIFRS9号の定めの取り入れ方として、次のいずれかの方法を採用することが提案された。

方法1:実効金利法による償却原価測定に関する測定規定は取り入れず、組成した貸付金の予想信用損失に適用する割引率に関して、実効金利ではなく約定利子率を採用する。
方法2:実効金利法による償却原価測定に関する測定規定を取り入れ、貸付金の予想信用損失に適用する割引率は実効金利とする。
方法3:方法1と方法2のいずれかの選択適用

⑵ その他の論点

回収期間に係る貨幣の時間価値の反映に関して、DCF法ではなく、たとえば貸倒実績率法や倒産確率法による場合、見積パラメータの調整や回収期間に関するデータの把握が必要になる可能性がある。そのため、実務上の負担は一定程度生じ得るものの、金融機関の状況によっては過大なコストや負担をかけずに調整を行えるケースも考えられ、必ずしも実務上困難というほどではないと考えられる。

⑴については引き続き検討を行うこととし、⑵についてはIFRS9号の定めをそのまま取り入れることが考えられるとした。

■委員の意見

専門委員からは、前記⑴に関して「IFRS適用企業でもすべての企業が実効金利法を導入しているとは限らず、方法3以外は難しいのではないか」など、方法3を推す意見が多かった。他方、「国際的な比較可能性を担保するためにも方法2がよい」との意見もあった。


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