旬刊『経理情報』2025年1月10日・20日合併号(通巻No.1732)情報ダイジェスト②/会計
【会計】バーチャルPPA、会計処理を行う時点・開示についての再提案を検討─ASBJ、実務対応専門委
去る2024年12月17日、企業会計基準委員会は、第164回実務対応専門委員会を開催した。
第536回親委員会(2024年12月10日号(№1729)情報ダイジェスト参照)に引き続き、バーチャルPPAの会計上の取扱いについて審議が行われた。
主な審議事項は次のとおり。
■会計処理を行う時点についての再提案
当初、事務局は、国から発電量が認定され、非化石価値の数量等が確定した段階において、非化石価値の費用処理を行い、対価の支払義務を計上することを提案していた。
非化石価値の費用処理を行い対価の支払義務を計上することには反対意見はなかったものの、非化石価値を認識する時点について、「発電時で会計処理することを認めるべき」という意見もあった。また、この意見に対しては、費用として認識する場合は発電時点で会計処理することも考えられるが、需要家が発電時点で会計処理するための情報を入手できるのかを懸念する声もあった。
これらを踏まえて、事務局は次の再提案を行った。
専門委員から「『金額を合理的に見積ることが可能となった時点』だけでは、見積りという主観的なもので時点を決めているかのようにみえるので、たとえば、『発電に伴い権利が発生し、かつ合理的に見積る時点』などと、発生した時点を入れたら基準としてわかりやすいのでは」という意見が聞かれた。
■開示についての再提案
当初、事務局は、本プロジェクトの開示目的について、契約から生じる損益およびキャッシュ・フローの性質、金額、時期および不確実性を財務諸表利用者が理解できるよう、①契約の概要、②当期の費用計上額( 当会計期末において費用がマイナスとなる場合はその金額)の開示を提案していた。
事務局提案に対し、開示の必要性について、経済実態が近似するフィジカルPPAについては明確な開示要求がないなど再検討を求める声も聞かれたため、事務局は次の再提案を行った。
専門委員からはおおむね賛意が聞かれた一方、「特段の開示を求めないという提案には同意できない。開示目的に照らして取引の概要等を注記することは必要では」という声もあった。
【会計】VCファンドに関する金融商品実務指針案のコメント対応、開始─ASBJ、金融商品専門委
去る2024年12月18日、企業会計基準委員会は、第230回金融商品専門委員会を開催した。
主な審議事項は次のとおり。
■金融資産の減損
前回専門委員会(2024年12月20日号(№1730)情報ダイジェスト参照)に続いて、IFRS9号「金融商品」の減損に関する定め(B5.5.28項~B5.5.55項)について、新たに開発する適用指針に取り入れる内容と取り入れない内容を峻別する検討が行われた(以下、B5.5.○項を「○項」と表記する)。
事務局から、次を除く定めについては、例示など解説的な内容以外の内容を新適用指針に取り入れるとする事務局案が示された。
専門委員から「取り入れない例示にも有用なものがある。できるだけ結論の背景等に入れてほしい」との意見が聞かれた。
■VCファンドの出資持分
第537回親委員会(2025年1月1日号(№1731)情報ダイジェスト参照)で紹介された、移管指針公開草案15号(移管指針9号の改正案)「金融商品会計に関する実務指針(案)」に寄せられたコメントに対する対応案について検討が行われた。
「組合等が別の組合等を保有している場における当該別の組合が保有する市場価格のない株式の取扱いを明確化すべき」とのコメントに対して、事務局から、方向性について次の2案が示された。
専門委員からは、「実務的な煩雑さが少ない」として案2を支持する意見が聞かれた。
【会計】確定基準公表後の対応、検討─SSBJ
去る2024年12月16日、SSBJは第45回サステナビリティ基準委員会を開催した。
同年3月29日に公表されたサステナビリティ開示ユニバーサル基準およびサステナビリティ開示テーマ別基準の公開草案(以下、あわせて「本公開草案」という)に寄せられたコメントへの対応案について、審議が行われた。
主な審議事項は次のとおり。
■確定基準公表後の対応
ISSB基準の要求事項のなかにはどのような内容の開示を求めているのかが必ずしも明確ではなく、世界中のISSB基準の利用者がISSB基準をどのように解釈するのかについて明らかでないものがある。そこで、SSBJ基準に従って作成されたサステナビリティ関連財務開示がISSB基準に従って作成されたサステナビリティ関連財務開示と同じになるためには、確定基準公表後も対応が必要になるとして、次の事務局案を提示した。
⑴ 公表後の対応
確定基準の公表後の対応として、次の事項を、適用基準の結論の背景に定める。
⑵ 別途の対応の手順
⑴③の「別途の対応」に関する具体的な手順は次のとおりとする。
委員からは、異論は聞かれなかった。
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本記事は、旬刊誌『経理情報』に掲載している「情報ダイジェスト」より抜粋しています。
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