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【会計】電子決済手段の測定、検討─ASBJ、実務対応専門委

去る2月27日、企業会計基準委員会は第155回実務対応専門委員会を開催した。
第154回(2023年2月10日号(No.1668)情報ダイジェスト参照)に引き続き、資金決済法上の「電子決済手段」の発行・保有等に係る会計上の取扱いについて審議された。

■電子決済手段の制度上の前提

電子決済手段の制度上の前提として、第154回開催後、次の点が明らかとなっている。

①銀行等が発行する第1号電子決済手段および第2号電子決済手段
銀行等が発行する第1号電子決済手段および第2号電子決済手段については資金決済法2条5項1号に規定されるもの(通貨建資産)として発行されるが、その具体的な発行形態は定まっていない。

②第3号電子決済手段
第3号電子決済手段においては、信託財産として管理される預金等の種類に応じて預金保険の保護の範囲に含まれるかどうかおよび預金保険の保護の範囲に含まれる場合の保護される上限額が異なる。

■電子決済手段の測定に関する検討

事務局は次の提案を示した。

⑴電子決済手段の取得時の会計処理

電子決済手段の払戻しの履行を担保する措置により電子決済手段の法定通貨との価値の連動が図られており、かつ、速やかに電子決済手段が払い戻されるものであることを踏まえると、券面額と取得原価との差額がほぼ生じず重要性がないと考えられる。そのため、取得時には券面額で測定する。

⑵電子決済手段の期末時の会計処理

電子決済手段は、要求払預金で想定される信用リスクと同程度の換金リスクのある資産であると考えられる。そのため、期末時における評価については、要求払預金に準じて取り扱う。

専門委員からは、特段異論は聞かれなかった。

■実務対応報告公開草案(本文)の文案の検討

事務局より、これまでの議論の内容をもとに作成された「電子決済手段の発行及び保有の会計処理及び開示に関する当面の取扱い(案)」の文案が示された。
専門委員からは、「預金の引当について、記載するかどうか、もう少し考えたほうがよいのではないか」、「預金に対して貸倒引当金を企業側で計上することは、多くの企業にとってイメージがない。預金と同程度、貸倒引当金のリスクが低い旨、結論の背景などに記載して理解しやすくするべき」など、貸倒引当金に関する意見が多く聞かれた。そのほか、「券面額について、物理的に紙があるわけでなく、イメージがつきづらいのでは。定義があるほうが、よりわかりやすいと思う」といった意見が挙がった。


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