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【金融】四半期開示の見直し、具体的議論開始─金融審議会ディスクロージャーWG

去る10月5日、金融審議会は第1回ディスクロージャーワーキング・グループ(座長:神田秀樹・学習院大学大学院法務研究科教授)をオンラインで開催した。
本WGは、6月に公表された「ディスクロージャーワーキング・グループ報告」に盛り込まれた、四半期決算短信への「一本化」の具体化に向けた課題等について、さらなる検討を行うもの。
今回は四半期開示をはじめとする情報開示の頻度・タイミングについて、次の論点が示され、議論が行われた。

■四半期決算短信の義務づけの有無

上場企業への四半期決算短信作成・提出を義務づけるか、あるいは任意とする(義務づけを廃止する)かについて、多くの委員から義務づけに賛成する意見が聞かれた。
一方、「すべての上場企業への義務化は反対」、「プライム企業のみ義務化としては」との意見も聞かれた。

■適時開示の充実

適時開示の充実に向けての、好事例の公表やエンフォースメント(ルールの実効性の確保)のあり方について、委員からは、「好事例の充実は賛成」、「エンフォースメントの強化は前向きな開示を阻害する」といった意見が聞かれた。
現行の適時開示制度は、基本的にインサイダー取引規制に倣った事項が定められ、軽微基準もあるなど、開示対象や重要性基準を定める細則主義になっている。このことに関して、「企業が投資家目線で開示できるよう、原則主義にすべき」との意見がいくつか聞かれた。

■四半期決算短信の開示内容

セグメント情報やキャッシュ・フロー情報などは、現行の四半報に含まれている一方、四半期決算短信には含まれていない。このような情報の開示について、委員から、「セグメント情報やキャッシュ・フロー情報は四半期決算短信でも開示すべき」、「現行の四半期決算短信の内容を維持し、開示されていない事項に重要な変更があれば適時開示すればよい」などの意見が聞かれた。

■四半期決算短信に対する監査人によるレビューの有無

監査人によるレビューの義務づけをどう考えるかについて、委員からは、「レビューがあれば資金調達も有利になる」など賛成意見が聞かれた一方、「タイムリーな開示を優先すべき」、「企業負担が増加する」など反対意見も聞かれた。
また、「シンガポールのように、基本的に四半期開示は任意だが、監査人が不適正意見を付した場合等に義務化されるという制度がよいのでは」、「第1、第3四半期のレビューは不要では」といった意見も挙がった。
レビューを付ける場合に四半期決算短信の提出時期に遅れが生じる可能性がある問題については、事務局資料で、半数以上の上場企業が四半期決算短信開示から四半報提出までの日数が5日以内との調査結果が示された。委員から「その程度の遅れは問題ないのでは」との意見がいくつか聞かれた。

■四半期決算短信の虚偽記載に対するエンフォースメント

現在、四半期決算短信の虚偽記載には取引所規則の制裁措置が課されており、四半報等の法定開示書類の虚偽記載の責任については、金融商品取引法の罰則が課されている。
これらのエンフォースメントの今後のあり方や、四半報の廃止で虚偽記載への刑事罰・課徴金といったエンフォースメントがなくなることについて、委員からは「取引所規則のみでよい」、「四半期の開示情報の信頼性を保つため、エンフォースメントは重要」との意見が聞かれた。

■半期報告書・中間監査のあり方

四半報の廃止に伴い、半期報告書の記載内容や、保証(半期報告書には中間監査が行われている)のあり方について、委員から「中間監査は、日本独特の監査制度となっており、国際的な監査基準と整合性が図られているレビュー手続に一本化すべき」という意見が多数聞かれた。一方、「第2四半期は第1、第3より高い水準の開示やレビューをすべき」との意見も挙がった。


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