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【会計】改正リース基準は公表後2年程度で強制適用か?─ASBJ、リース会計専門委

去る9月15日、企業会計基準委員会は第121回リース会計専門委員会を開催した。
主な審議事項は次のとおり。

■IFRS16号における設例の取扱い

これまで議論してきたIFRS16号「リース」における設例の日本基準への取り入れ方について、リースの識別に関して次の事務局案が示された。

・個別事例で指図権が何かを示す「設例5―トラックのレンタル」、「設例6―船舶」、「設例7―航空機」は、設例が実質的に基準の要求事項を限定する可能性があるため、取り入れない。
・実質的な入替えの権利に関する「設例1―鉄道車両」は、取り入れる。

専門委員からは、「取り入れない設例も、基準本文だけでは理解できない点の理解が進むため、有用では」、「日本基準オリジナルの設例を作るのも一考しては」といった意見が聞かれた。事務局からは「検討する」との回答があった。
9月21日開催の第487回親委員会では、委員から「提案に賛成。指図権は難解ではあるが、設例5~7がなくとも、他の設例でカバーできるのでは」、「入替権の設例1は他の設例でわかるので重複感がある。指図権の設例はあったほうがよいのでは」との意見が挙がった。

■経過措置

まだリース会計基準等の改正におけるすべての取扱いについての議論を終了している段階ではないものの、経過措置について、その方向性が他の議論に影響を与える可能性があることや、数回の議論が必要となる可能性を踏まえ、検討が行われた。

⑴適用時期

基準の公表から強制適用までの期間は2年程度を基礎とし、早期適用を認める案が示された。

⑵経過措置

次の経過措置について、方向性が示された。

①IFRS16号の経過措置をそのまま採り入れる項目
・完全遡及アプローチと累積キャッチアップ・アプローチの選択
・累積キャッチアップ・アプローチを採用する借手に関する実務上の便法(および開示要求)
・適用開始日前のセール&リースバック取引

②追加の検討を行う項目
・契約がリースを含むかどうか見直さないことができる経過措置
・借手が過去にファイナンス・リースに分類していたリースに関する経過措置
・貸手の経過措置

⑶専門委員の意見

専門委員からは、適用時期について「2年では短い。最低3年は必要ではないか」、「利用者としては、適用時期は早いほうがよい」などの意見が聞かれた。

⑷親委員会での議論

9月21日開催の第487回親委員会では、委員から適用時期について、「準備期間が2年で十分か懸念がある。実行可能性の評価も検討を」、「2年後の期首から開始であれば、それなりに準備できるのでは」との意見が出された。

■関連基準の修正

リース会計基準の改正に伴い、次の関連基準等の改正案が示された。

・日本公認会計士協会会計制度委員会報告15号「特別目的会社を活用した不動産の流動化に係る譲渡人の会計処理に関する実務指針」、同Q&A
・企業会計基準適用指針15号「一定の特別目的会社に係る開示に関する適用指針」
・日本公認会計士協会会計制度委員会報告8号「連結財務諸表等におけるキャッシュ・フロー計算書の作成に関する実務指針」
・日本公認会計士協会業種別監査委員会報告19号「リース業における金融商品会計基準適用に関する当面の会計上及び監査上の取扱い」等


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