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【金融】四半期開示の見直し・サステナビリティ情報開示に関する報告案、審議─金融審議会ディスクロージャーWG

去る2022年12月15日、金融審議会は第4回ディスクロージャーワーキング・グループ(座長:神田秀樹・学習院大学大学院法務研究科教授)をオンラインで開催した。
これまでの四半期開示の見直しおよびサステナビリティ情報の開示に関する議論を踏まえた報告案が示され、議論された。
主な議論の内容は次のとおり。

■四半期開示の見直し

⑴四半期決算短信の義務づけ

「当面は、四半期決算短信を一律に義務付ける」、「今後、適時開示の充実の達成状況や開示を巡る企業の意識の変化、有価証券報告書の開示タイミングの状況等を踏まえた上で、四半期決算短信の任意化について幅広い観点から継続的に検討していく」との文案が示された。
委員からは、「任意化するには、企業の開示姿勢の意識を改善することが大前提」、「任意化について、『有価証券報告書の開示タイミング』は今回の四半期の議論とは関係ないのでは」などの意見が聞かれた。

⑵四半期決算短信の開示内容

「原則として速報性を確保しつつ、投資家の要望が特に強い事項(セグメント情報、キャッシュ・フローの情報等)について、四半期決算短信の開示内容を追加する方向で、取引所において具体的に検討を進める」との文案が示された。
委員からは、「『企業の開示負担に留意して』といった文言を挿れてほしい」などの意見が聞かれた。

⑶四半期決算短信に対する監査人によるレビューの有無

「四半期決算短信については監査人によるレビューを一律には義務付けない」、「企業において任意でレビューを受けることを妨げないこととするとともに、投資家への情報提供の観点からレビューの有無を四半期決算短信において開示する」との文案が示された。
委員からは、「1Q、3Qのレビュー廃止によって、企業と監査人とのコミュニケーションが希薄化することなく、引き続き維持してほしい」、「レビューの有無の開示には反対」との意見が聞かれた。

■サステナビリティに関する企業の取組みの開示

わが国におけるサステナビリティ開示基準について、「我が国では、最終的に全ての有価証券報告書提出企業が必要なサステナビリティ情報を開示することを目標としつつ、今後、円滑な導入の方策を検討していく」の文案が示された。
また、サステナビリティ情報に対する保証のあり方について、「将来的に、当該情報に対して保証を求めていく」との文案が示されたことに対し、委員からは「『将来的に』の文言は不要。早々に検討すべき」との意見が聞かれた。

座長から「全体的な方向性については賛同を得ている。委員から意見が聞かれた個別項目の修正を検討し、取りまとめたうえで、総会で報告する」との方向性が示された。

追記(2022年12月28日)

なお、金融庁は12月27日に「金融審議会『ディスクロージャーワーキング・グループ』報告」を公表した。


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