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【会計】リース会計基準改正に伴うCF実務指針の改正、検討─ASBJ

去る4月26日、企業会計基準委員会は第478回企業会計基準委員会を開催した。主な審議事項は次のとおり。

■ 改正リース会計基準

・ リースの識別

第112回リース会計専門委員会(2022年5月1日号(No.1643)情報ダイジェスト参照)に引き続き、次の点につき審議が行われた。

① リース会計基準での取扱い
前回の専門委員会で示された、リースの識別における特定された資産(稼働能力部分)の取扱いを、改正リース会計基準の適用指針の結論の背景に記載する当初案に対して、反対意見が聞かれた。これを受けて、本文における特定された資産の箇所に記載する等の再提案が示された。
② IFRS16号の設例
IFRS16号「リース」の「設例3―光ファイバー・ケーブル」を採り入れるにあたり、設例における契約の対象資産を「ガスの貯蔵タンクの容量」に変更し、顧客の使用できる資産が物理的に別個のものではなくリースを含まないとする設例のみを設けるとの再提案がされた。
委員からは「ガスのほうがかえってイメージがわきにくいのでは」との意見が聞かれた。

・ キャッシュ・フロー実務指針の改正案

本リース会計基準の改正に伴う、日本公認会計士協会会計制度委員会報告8号「連結財務諸表等におけるキャッシュ・フロー計算書の作成に関する実務指針」の改正について審議された。
借手の支払リース料のうち、元本返済額部分は財務活動の区分に記載し、利息相当額部分については、企業が採用した支払利息の表示区分に従って記載する。一方、貸手の受取リース料は、現行の定めを維持する案が示された。
委員からは「営業活動CFが変わることで、利用者にどの程度影響があるか確認すべきでは」との意見があり、事務局から「検討する」との回答があった。

■ 金融資産の減損に関する会計基準の開発

第179回金融商品専門委員会(2022年5月10日・20日合併号(No.1644)情報ダイジェスト参照)に引き続き、ステップ2(信用リスクに関するデータの整備がなされている金融機関の貸付金に適用される会計基準の開発)以降の進め方と検討する論点につき、審議が行われた。

・ ステップ2以降の進め方

今後の検討では、まずステップ2とステップ4(信用リスクに関するデータの詳細な整備がなされていない金融機関に適用される会計基準の開発)においてどのような会計基準を開発するのかを定め、その目的に沿った基準開発を行い、ステップ2と4のどちらの会計基準を適用するかは、企業が両ステップで定める会計基準の目的や自らの状況を踏まえ会計方針として選択するアプローチが示された。
ステップ2の目的は、「国際的な比較可能性を確保することを重視し、国際的な会計基準と遜色がないと認められる会計基準、すなわち、IFRS9号『金融商品』を適用した場合と同じ実務および結果となると認められる会計基準を目指す」とした。
一方、ステップ4の目的は、「IFRS9号を出発点として、適切な引当水準を確保したうえで実務負担に配慮した会計基準を目指す」とした。
委員からは「ステップ4の『適切な引当水準』が何を意味しているか不明」との意見が聞かれた。

・ ステップ2で検討する論点

事務局が把握している個別論点は次のとおり。

①債権単位での信用リスクの著しい増大の判定
②将来予測情報の考慮
③複数シナリオに基づく結果の確率加重
④貨幣の時間価値の考慮
⑤債務不履行の定義
⑥信用リスクの著しい増大の判定の適用時の担保等による貸出スプレッドの調整
⑦信用リスクを見積る期間

委員からは「システム変更等にコストがかかると思われる。できるだけ現行の実務を生かせる形にしてほしい」との意見が聞かれた。


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