見出し画像

【会計】一括借上契約等の取扱い、検討─ASBJ、リース会計専門委

去る5月10日、企業会計基準委員会は第114回リース会計専門委員会を開催した。主な検討事項は次のとおり。

■ セール・アンド・リースバック取引

第108回専門委員会(2022年2月10日号(No.1635)情報ダイジェスト参照)に引き続き、セール・アンド・リースバック(S&LB)取引の取扱いについて、審議が行われた。

・ S&LB取引の売手である借手の会計処理

IFRS16号「リース」の考え方を採り入れるとする当初案から、次のように再提案が示された。

・リースバックがファイナンス・リースの場合、資産の売却取引を否認して売却損益は認識しない。個別の開示は求めない。
・リースバックがオペレーティング・リースであり収益認識基準等の売却要件を満たす場合、資産の売却取引から生じる売却損益を全額認識することを認め、S&LBによる損益や目的の開示を要求する。

専門委員からは「作成者としては案に同意」、「利用者としては、IFRSの考え方のほうが賛同しやすい」といった意見が聞かれた。

■ 一括借上契約およびパス・スルー型のサブリース取引

第477回親委員会(2022年5月10日・20日合併号(No.1644)情報ダイジェスト参照)では、一定の要件を満たす場合に、ヘッドリースとサブリースを会計上リースとして処理しないとする案が示されたが、要件が厳格過ぎるなどの意見が聞かれていた。
これを踏まえ、アプローチを変え、変動リース料の観点から再検討が行われた。
ヘッドリースについて、サブリースの借手からリース料を受け取るかどうかにより変動する部分を、変動リース料として扱うことは、国際的な会計基準との整合性を大きく損なわないと分析され、次のような文案と会計処理が示された。

中間的な貸手が、サブリースの借手からリース料の支払を受けたときにのみ、ヘッドリースの貸手にリース料を支払う義務を負う場合、中間的な貸手のヘッドリースにおける支払リース料およびサブリースにおける受取リース料は変動リース料とみなす。
【会計処理】
BS:ヘッドリースおよびサブリースの開始日には何も計上しない(使用権資産とリース負債はゼロで測定される)。毎月末に当月分の支払リース料に対する負債と受取リース料に対する債権を計上する。
PL:毎月当月分の支払リース料と受取リース料を計上する。

専門委員からは、「会計処理について、BSで負債・債権の計上は不要で、中間の手数料のみでよいのでは」との意見に、事務局から「事務局案で実務上支障があるか、不動産業界に確認する」と回答があった。


〈旬刊『経理情報』電子版のご案内〉

本記事は、旬刊誌『経理情報』に掲載している「情報ダイジェスト」より抜粋しています。
『経理情報』は、会社実務に役立つ、経理・税務・金融・証券・法務のニュースと解説を10日ごとにお届けする専門情報誌です。タイムリーに新制度・実務問題をズバリわかりやすく解説しています。定期購読はこちらから

電子版(PDF)の閲覧・検索サービスもご用意!詳細はこちらから