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【会計】改正リース会計基準の単体財務諸表の会計処理、検討─ASBJ、リース会計専門委

去る6月6日、企業会計基準委員会は第116回リース会計専門委員会を開催した。
主な検討事項は次のとおり。

■ 単体財務諸表における会計処理

第97回専門委員会(2021年2 月20日号( No. 1 6 0 3)情報ダイジェスト参照)・第452回親委員会(2021年3月20日号(No.1606)情報ダイジェスト参照)で議論されていた、改正リース会計基準等における単体財務諸表(単体)の会計処理の検討が行われた。開示については別途検討予定。

(1) 検討項目

これまでの議論では、次の項目のうち②(ⅳ)以外については、ひととおりの検討が終わっている。

① 国際的な比較可能性
② 関連諸法規等との利害調整
 (ⅰ) 法人税法
 (ⅱ) 分配規制
 (ⅲ) 自己資本比率規制等
 (ⅳ) 民法(賃貸借)等
 (ⅴ) 法人企業統計
③ 中小規模の企業における適用上のコスト
④ 連単で異なる会計処理を設ける影響

今回、未分析だった民法(賃貸借)等についての分析と事務局案が示された。

⑵ 民法(賃貸借)等の分析

① 法律上の解釈への影響

判例などで法律上の解釈に会計上の考え方が参考にされている場合はあるが、それをもって連単に異なる定めを置くことを考慮しなければならないことにはならないとの分析が示された。

② 賃貸借に関する法律との整合性

これまでの議論で出された、国際的な会計基準において、借手がすべてのリースについて資産・負債を計上する論理が、わが国の賃貸借に関する法律と整合しないのではないかとの懸念に対し、民法の賃貸借の考え方と会計上の資産・負債への考え方が一致していないことについては、計上される資産・負債が法的な権利・義務に限定されないため、連単で異なる定めを置く理由はないとの分析が示された。

⑶ 事務局提案

改正リース会計基準の適用に関する懸念の多くは連単共通のものである。連単の会計処理は同一であるべきとする基準開発の基本的な考え方を覆すに値する事情は存在しないため、連単で同一の会計処理とする。

専門委員からは事務局案に賛成の意見が聞かれたほか、「税制は単体を基礎としており、連単同一の場合、会計基準の改正が税制に大きく影響してしまう。連結のみ適用としては」との意見も聞かれた。

■ 一括借上契約およびパス・スルー型のサブリース取引

第480回親委員会(2022年6月20日号(No.1647)情報ダイジェスト参照)に引き続き、審議が行われた。
一定の要件を満たすサブリース取引では、中間的な貸手は、ヘッドリースの支払リース料の支払義務を負う時点、または、サブリースの受取リース料を受け取る権利が生じた時点で損益に計上する、とする事務局案が示された。
専門委員から「本規定は、要求事項ではなく、容認規定とすべき」という意見が聞かれた。

■ 改正・修正が必要な他の基準

リース会計基準の改正に伴い、次の基準等について、改正の審議が行われた。

・日本公認会計士協会会計制度委員会報告5号「連結財務諸表におけるリース取引の会計処理に関する実務指針」
・実務対応報告31号「リース手法を活用した先端設備等投資支援スキームにおける借手の会計処理等に関する実務上の取扱い」


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