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【会計】ローン・コミットメント、金融保証契約の取扱い、検討─ASBJ、金融商品専門委

去る12月1日、企業会計基準委員会は第191回金融商品専門委員会を開催した。前回審議(2022年12月1日号(No.1662)情報ダイジェスト参照)では、金融資産の減損の会計基準の開発に関し、ステップ3で検討する論点が示された。それを踏まえ、今回は次の2つの論点が審議された。

■ローン・コミットメントに対する減損に関する定めの適用

⑴取扱い

IFRS9号「金融商品」において、ローン・コミットメントは貸付金等と同じ信用リスク管理および情報システムを用いて管理されていることが多いなどの理由から、純損益を通じて公正価値で測定されるものを除き、減損の要求事項を適用しなければならないと定められている。
また、金融商品に関する信用リスクが当初認識以降に著しく増大している(SICR)場合には金融商品の全期間の予想信用損失を損失評価引当金として認識し、信用リスクが著しく増大していない場合には12カ月の予想信用損失を損失評価引当金として認識する。
日本基準では、貸倒引当金の設定対象は債権とされ、ローン・コミットメントに関する明確な定めはないものの、信用リスクの管理上、引当金を設定する実務も存在している。

⑵事務局提案

IFRS9号の定めを取り入れ、ローン・コミットメントに対して減損の要求事項を適用する場合、実務負担が生じる可能性があるが、次の理由により、実務上困難とまではいえないと考えられる。
①SICRの判定
SICRの判定における信用リスクに関しては、すでに保有しているデフォルト・リスクに関するデータが利用可能と考えられる。SICRの始点の把握についても、必ずしも特定が必要でない場合もあり、実務負担は大きくならないと考えられる。
②予想信用損失の測定
ステップ2で審議した貸付金と同様のモデルを採用する場合、予想信用損失の測定に係る各種データは共通すること等が考えられる。また、見積りのために引出し率や与信相当掛目のデータが追加的に必要となる場合であっても、過去の信用枠の引出し実績のデータ等に基づき見積りができる可能性もあり、実務上困難な負担とまではいえない。
③見積期間
信用リスクに晒されると予想される期間の見積りが必要になる場合であっても、たとえばクレジットカードについて延滞した未使用枠をただちにすべて撤廃する信用リスク管理を行っている場合、未使用枠がなくなり詳細な予想期間の見積りが不要となるケースがあるなど、必ずしも実務上の負担が大きくならない状況もあると考えられる。

専門委員からは、方向性についてはおおむね賛同が得られた。他方で、「IFRS7号『金融商品:開示』のB8E項では、引当金を認識する方法以外に、貸付金と区別できない場合は貸倒引当金を認識する方法も認められている。日本基準においてもこのような処理を認めるかは、議論していく必要があるのでは」との意見が聞かれた。事務局は「今後検討していきたい」と回答した。

■金融保証契約の保有者の取扱い

⑴取扱い

IFRS9号では、保有する金融保証を貸付等の契約条件の一部として引当に反映するか、または他の会計基準等に従って会計処理すべきかについては、貸付および金融保証等の信用補完の契約条件や個々の状況に基づき判断することが求められている。
日本基準では、貸倒懸念債権等は財務内容評価法やキャッシュ・フロー見積法により算定されることが求められており、いずれの方法も保証による回収見込額を考慮する必要がある。

⑵事務局提案

IFRS9号と日本基準のいずれにおいても、保有する金融保証等を一体とみなして貸倒見積高の算定に関する判断を行っており、両者の取扱いに基本的な相違はない。そのため、IFRS9号の定めをそのまま取り入れることが考えられる。
専門委員からは特段の異論は聞かれなかった。


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