旬刊『経理情報』2024年12月1日号(通巻No.1728)情報ダイジェスト/会計
【会計】バーチャルPPAにおける非化石価値を受け取る権利等を分析─ASBJ、実務対応専門委
去る11月11日、企業会計基準委員会は、第163回実務対応専門委員会を開催した。
第535回親委員会(2024年11月20日号(№1727)情報ダイジェスト参照)に引き続き、バーチャルPPAの会計上の取扱いについて審議が行われた。
主な審議事項は次のとおり。
■需要家が非化石価値を受け取る権利に関する会計処理
事務局は、非化石価値を受け取る権利を次の各段階に分けて分析した。
分析を踏まえ、事務局は、⑵の段階において次の会計処理を行うことを提案した。
専門委員から賛同の声が聞かれた一方、「発電時などもう少し早いタイミングでの会計処理も検討したほうがよいのではないか」との意見も聞かれた。
■対価が差金決済の場合の追加的な論点
事務局は、対価が差金決済の場合においては、「対価=(固定価格(PPA契約価格)―卸電力市場価格)×発電量」で決定されることが一般的であるとし、バーチャルPPAの需要家のコストは市場価格および電気料金の単価によって変わり、支払額がマイナスとなる場合も生じ得るとした。
そこで事務局は、非化石価値の対価が差金決済の場合で、対価がマイナスとなるときは、費用からの控除を定めることを提案した。
専門委員からは、異論は聞かれなかった。
■開示の検討
第51回企業会計基準諮問会議(2024年8月10日号(№1718)情報ダイジェスト参照)において聞かれていた、財務諸表において取引のリスクをどのように開示するか検討すべきなどの意見を踏まえて、事務局はまず、開示目的を定めることが考えられるとした。
そのうえで、開示目的を達成するため、本プロジェクトが対象とする契約が当期の財務諸表に与える影響および当該影響がどのような契約から生じているかを理解するための基礎となる情報の開示を行うこととした。
以上を踏まえ、事務局は次のような開示項目の提案を行った。
専門委員からは、おおむね賛意が聞かれた。
【会計】IFRS9号の減損の定め等の取り入れ方、検討─ASBJ、金融商品専門委
去る11月12日、企業会計基準委員会は、第228回金融商品専門委員会を開催した。
金融資産の減損について、審議が行われた。主な審議事項は次のとおり。
■ステップ5における未収金・貸付金等の取扱い
第528回親委員会(2024年7月10日号(№1715)情報ダイジェスト参照)にて、ステップ5(一般事業会社に対する検討)において、あらためて検討するとしていた次の金融資産の取扱いについて審議が行われた。
⑴ 未収金
未収金についてIFRS9号「金融商品」の単純化したアプローチの対象とするか検討が行われた。
事務局から、国際的な会計基準と異なるものとなること、未収金の満期の大半が1年未満とすると、全期間の予想信用損失と12カ月の予想信用損失と同額になることを理由に、単純化したアプローチの対象としないとする提案が示された。
⑵ 貸付金等
貸付金等については、ステップ4の検討後にあらためて検討するとしており、同一の会社等の集団に属する他の会社等に対する貸付等や建設協力金について、ステップ5独自のオプションとして、単純化したアプローチの対象とするかどうか検討された。
分析の結果、その必要性が乏しいとして、ステップ5独自のオプションを設けないとの提案が示された。
専門委員からは、特段異論は聞かれなかった。
■減損の定めの対象に関する検討
前回専門委員会(2024年11月10日号(№1726)情報ダイジェスト参照)等で、IFRS9号の減損に関する定め(5.5.1項~5.5.20項)の取り入れ方について、次の観点から峻別する提案がされていた。
IFRS9号の各項について、具体的な取り入れ方が図表のように提案された。
専門委員からは、おおよそ賛意が聞かれたが、「5.5.17項はIFRSでも太字で書かれており、重要性が高い。①がいいのでは」との意見が聞かれた。
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本記事は、旬刊誌『経理情報』に掲載している「情報ダイジェスト」より抜粋しています。
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