見出し画像

今から始める投資・資産運用 「リスク」との付き合い方|『税務弘報』2023年1月号インタビュー「税理士が知っておきたい資産運用」

大和総研の金融調査部で、金融と経済にまたがる領域のリサーチをしている長内智さんにインタビュー。
投資をはじめるための第一歩から金融の具体的な知識まで伺いました。
本記事では「リスク」との付き合い方に焦点を当てています。

「7つの分類と3つの基準」はこちら!

「リスク」との付き合い方

リスクとは「損をすること」?

結論としてはそのように理解していただいて問題ありません。

金融理論では、アップサイドリスクダウンサイドリスクという分け方があり、ある程度予想された結果と比べて分散(ボラティリティ)が大きいことを、リスクと呼びます。儲かったときにも「リターン」ではなく「リスク」と捉えるんですね。
ですから、急騰した商品は、一見良さそうにみえますが、ボラティリティが高いため、落ちるときにも大きく落ちる恐れがあります。
初心者の方は、価格が大きく上下に変動するものを避けたほうがいいでしょう。

自分に合う商品の選び方は

「リスク許容度」という、証券投資の分野の専門用語があります。
商品自体の良い悪いもありますが、何よりもまずは、リスクをしっかり理解した上で、自分が取れるリスクの範囲内で商品を選ぶ必要があります。
例えば、すごいリスクを取ってでも一攫千金を狙いたいという方でしたら、ハイリスク商品は合っていますよね。
初心者の場合は、ハイリスクなものはできる限り避ける投資の仕方になってくるでしょう。

インフレ防衛策としての資産運用

現状では、貯蓄から資産運用を意識することは重要だと思います。
まずインフレには、2種類あります。
景気が良くなって起こるものが、ディマンドプルインフレ。需要がしっかりと回復する中でのインフレですから、労働者の賃金も上がります。よく「良いインフレ」と言われるのがこちらです。
しかし、直近で起こっているのは、コストプッシュ型のインフレで、物のコストが急騰して商品価格が上がっているものです。また、日本の場合は円安の影響もあり、現在は、これまでにない「悪いインフレ」が起きています。

国際的な分断や世界的な異常気象、少子高齢化に伴う人手不足などの要因から、今後もこの悪いインフレが、構造的に続いていく可能性が高まっています。
経済の分野では、インフレが起きているときに預金に置いている資産は、インフレの分だけ目減りすると言われます。実質的な価値がどんどん下がって行くのです。
ですから、資産運用を始める重要性が、高まっているんですね。

もっと読みたい方は!

2023年2月号からは、長内さんの連載「深読み証券投資の羅針盤」がスタート。この機会に定期購読もご検討ください!

登壇者紹介

長内 智(おさない・さとし)
㈱大和総研 金融調査部 主任研究員
2006年早稲田大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学、大和総研入社(金融資本市場担当)。08〜10年大和証券に出向(海外金融市場担当)。12〜14年に内閣府参事官補佐として経済財政白書の執筆、月例経済報告などを担当。14年大和総研に帰任(日本経済担当)、18年より現職。日本証券アナリスト、CFP®認定者。