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【会計】固定資産に「使用権資産」の区分を設ける?─ASBJ

去る6月29日、企業会計基準委員会は第482回企業会計基準委員会を開催した。
主な審議事項は次のとおり。

■ 改正リース会計基準

⑴ 表示および注記

第109回リース会計専門委員会(2022年3月10日号(No.1638)情報ダイジェスト参照)での議論を踏まえ、次の再提案が行われた。
① 借手の表示・注記
IFRS16号「リース」と整合的なものとする。
表示については、使用権資産を、現行基準の「有形固定資産」、「無形固定資産」および「投資その他の資産」のどの区分に表示するかに関して、すべての企業に対し、固定資産に新しい「使用権資産」という区分を設ける。この提案が認められない場合は、次の(ⅰ)、(ⅱ)の選択適用とする。

(ⅰ) 使用権資産の原資産が有形固定資産か無形固定資産かによって、それぞれの資産に区分表示する。
(ⅱ) 使用権資産についてはまとめて無形固定資産に表示する。

注記については、IFRS16号と同様の開示目的を定め、短期リースおよび少額資産のリースに係る費用の開示を要求する。
また、開示目的を満たすための必要な追加の定性的・定量的情報について、当該項目に関する定めを置かずに、結論の背景でその理由を記載する案が示されたが、これには、さまざまな意見が聞かれているため、公開草案の個別の質問事項とする。委員からは「借手の表示で、『使用権資産』の区分を設けるのではなく、無形固定資産に入れるか、選択適用がよいのでは」、「借手の注記で、短期リースおよび少額資産のリースに係る費用の注記は本当に必要か」といった意見が聞かれた。
② 貸手の表示・注記
表示については、現行の定めを維持する。
注記については、IFRS16号と同様の開示目的を定める。

⑵ IFRS16号の設例の取扱い

IFRS16号のリースの識別に関する設例について次のような事務局案が示された。

設例8―シャツに関する契約→採り入れない
設例9―エネルギー・電力に関する契約→採り入れる
設例10―ネットワーク・サービスに関する契約→採り入れる

⑶ 指数またはレート(指数等)に応じて決まる変動リース料

第4 7 9 回親委員会( 2 02 2 年6 月10日号(No.1646)情報ダイジェスト参照)の議論を踏まえ、次のような提案がされた。

(ⅰ) リースの契約条件が、指数等に応じてリース料を算定することとしている場合に、当該指数等が変動することにより、今後支払うリース料に変動が生じたとき、かつ、そのときにのみ、残存リース期間にわたり、変動後の指数等に基づきリース料およびリース負債を算定する。
(ⅱ) ⅰにかかわらず、借手は、合理的な根拠をもって指数等の将来の変動を見積ることができる場合、リース料が参照する指数等の将来の変動を見積り、当該見積られた指数等に基づきリース料およびリース負債を算定することを、リースごとにリース開始日に選択することができる。その選択を行ったリースに関して、次の事項を注記する。
・ リース負債のBS計上額
・ (ⅰ)を適用した場合のリース負債の期末残高

委員から「(ⅱ)の注記事項については、コストと有用性の観点から再度分析をしては」との意見が出され、事務局は「利用者の意見も聞いて検討する」と回答した。

■ 中期運営方針

今後3年間の日本基準の開発の方針および国際的な会計基準の開発に関連する活動を行うにあたって、新たな中期運営方針の案が示された。
前回2019年からの大きな変更点として、「サステナビリティ開示基準との関係」の項の追加や、委員会の一定のリソースを検討論点に関するリサーチ活動に充てること等が明記された。
今後、数回審議を行い、まとめる方向。


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本記事は、旬刊誌『経理情報』に掲載している「情報ダイジェスト」より抜粋しています。
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