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【会計】貸手の表示・注記に関する検討、進む─ASBJ、リース会計専門委

去る11月8日、企業会計基準委員会は第123回リース会計専門委員会を開催した。
主な審議事項は次のとおり。

■表示および注記(貸手の注記事項の構成)

⑴ 聞かれた意見に対する事務局提案

貸手の表示・注記について、第486回親委員会および第120回専門委員会(2022年10月1日号(No.1656)情報ダイジェスト参照)で聞かれた意見とその対応方針が示され、検討された。
主な検討事項は次のとおり。

① リース債権・リース投資資産に重要な変動がある場合の注記
前回の事務局案に対して、収益認識基準では契約資産・負債の残高の重要な変動について定量的開示が求められていないが、リース債権・リース投資資産については定量的開示を求めることに関して異論が聞かれていた。
再提案では、収益認識基準と同様の定めとし、必ずしも定量的情報を求める必要がない旨を定めることとした。

② リース債権・リース投資資産の構成要素の注記
前回事務局案では、リース債権の構成要素(リース料債権部分と受取利息相当額)、リース投資資産の構成要素(リース料債権部分、受取利息相当額および見積残存価額)の開示について、区別して開示することとされており、賛否両方の意見が聞かれていた。
再提案では、リース債権の期末残高がリース債権の期末残高とリース投資資産の合計額に比して重要性が乏しい場合、リース債権とリース投資資産の合算での注記を容認することとした。
専門委員からは、「この案が作成者企業の評価にプラスになるならば、強く反対はしない」との意見が聞かれた。

⑵ 注記事項の分類

借手の場合と同様、注記事項について、財務諸表利用者の利便性を考慮し、それぞれ性質の類似する項目ごとに次の4つの項目に分類する案が示された。

① 会計方針の注記
② 区分表示の定めに対する補足情報
③ リース特有の取引に関する情報(変動リース料等)
④ 当期および翌期以降のリースの金額を理解するための情報

■リース基準改正に伴う他の基準の修正

リース会計基準の改正に伴う他の基準の修正について検討が行われた。

⑴ 賃貸等不動産時価開示会計基準等

企業会計基準20号「賃貸等不動産の時価等の開示に関する会計基準」等の改正について、検討が行われた。
事務局提案は、次のとおり。

  • 棚卸資産に分類されている不動産以外のものであり、賃貸収益またはキャピタル・ゲインの獲得を目的として借手が使用権資産の形で保有する不動産を賃貸等不動産の定義に含め、賃貸等不動産の定義を満たす使用権資産について、時価の注記を求める。

  • 使用権資産の時価算定においては、リース期間にわたって毎月同額である固定リース料のみでリース料が構成される場合等、リース負債の測定に必要な情報を基礎として時価の合理的な見積りを行うことができる場合があり、時価を算定するためのコストの増加が多大とならない場合があることを結論の背景に記載する。

  • 賃貸等不動産の貸借対照表計上額および期中における主な変動については、所有資産と使用権資産を区分して注記する。

専門委員からは、「対象の賃貸等不動産の範囲を作成者にわかるよう明示したほうがよいのでは」といった意見が聞かれた。

⑵ SPCに関する監査上の留意点Q&A

日本公認会計士協会が公表している「監査・保証実務委員会実務指針90号『特別目的会社を利用した取引に関する監査上の留意点についてのQ&A』」を、第121回専門委員会(2022年10月10号(No.1657)情報ダイジェスト参照)で提案された不動産流動化実務指針の改正と整合させる改正について検討がされた。
専門委員からは特段の意見は聞かれなかった。


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