【会計】ステップ2と同時並行でステップ3も検討開始─ASBJ、金融商品専門委
去る11月2日、企業会計基準委員会は第190回金融商品専門委員会を開催した。金融資産の減損の会計基準の開発に関し、ステップ2ではIFRS9号「金融商品」の分類および測定に関連する論点等を引き続き検討するが、効率的な開発を行うため、ステップ3の検討を同時並行的に進めることとなった。
なお、ステップ3では、ステップ2の予想信用損失モデルを選択した銀行等金融機関を対象に、貸付金以外への適用に関する検討を行う。
■ステップ3の進め方
ステップ3では、次の論点を検討する。
日本基準では著しい時価の下落が生じた際に減損処理を行い、IFRS9号では減損の一般的なアプローチが適用される金融資産(例:満期保有目的の債券、その他有価証券に分類される債券)
日本基準では債務保証引当金を計上し、IFRS9号では減損の一般的なアプローチが適用される金融商品(例:金融保証契約)
日本基準では明示的な定めがなく、IFRS9号では減損の一般的なアプローチが適用される金融商品(例:取消不能なクレジットカード、ローン・コミットメント契約)
なお、銀行等において取扱いが少ない営業債権、契約資産、リース債権は、一般事業会社を対象とするステップ5で別途検討することが提案された。
専門委員からはおおむね賛同されたが、「どの論点をどこまで深く議論するかは、適宜確認すべき」との意見が聞かれた。
■金融保証契約の発行者の取扱い
⑴ 現行の取扱い
IFRS9号では、金融保証契約について予想信用損失モデルを適用し、損失評価引当金を認識すること等が求められている。一方、日本基準では、適用範囲についての定めはないものの、一般的に、債務者区分に基づき評価性引当金として貸倒引当金が計上されている。
⑵ 事務局提案
IFRS9号の定めをそのまま取り入れた場合、金融保証契約の定義を満たすものについては、引当に関するモデルを変更し、IFRS9号の一般的なアプローチによって予想信用損失を見積ることとなる。また、当初認識以降は予想信用損失の金額と前受保証料の残高を比較し、いずれか高いほうを負債として計上する必要がある。
この場合、実務負担としては、次の2点が考えられる。
ステップ2で審議した貸付金と同様のモデルを採用し、パラメーターに関連するデータを整備する必要がある。
予想信用損失の金額と前受保証料の残高を比較しなければならず、これらのデータ紐づけに係る業務プロセスやシステム対応が必要となる。
実際、専門委員からも「貸倒引当金と保証料を管理するシステムは異なり、データの紐づけは実務上困難。ポートフォリオ単位の比較とするなど、別途対応を考えるべき」との懸念が聞かれた。
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