【監査】内部統制に係る評価範囲の記載が焦点に─企業会計審議会内部統制部会
去る11月8日、金融庁・企業会計審議会は、第23回内部統制部会(部会長:橋本尚・青山学院大学大学院会計プロフェッション研究科教授)を開催した。前回審議(2022年11月10日号(No.1660)情報ダイジェスト参照)を踏まえ、内部統制報告制度の見直しの方向性に係る事務局案(図表)が示され、意見が求められた。
■内部統制報告制度の見直しの方向性に係る事務局案(図表)
■内部統制の評価範囲
特に⑵の数値基準、三勘定に係る例示の記載の是非については、委員のなかでも意見が分かれた。記載の削除への反対意見としては、「実務に混乱が生じる」、「リスクアプローチにおいては、意図的にリスクの範囲を狭める懸念もある。数値基準や例示などで客観的な根拠を示すことも重要」といった声が上がった。一方で、「数値基準等が残ってしまったら、これまでと変わらない」、「基準からは削除し、必要に応じてQ&Aなどで言及する形にすべき」として、記載の削除を求める意見もあった。
また、実務への影響を考慮しつつ、「今回の見直しでは記載を続け、前文等において今後削除していく方向であることを示すのはどうか」との案も聞かれた。
■その他の論点
⑴のERM、COSO等への言及については、十分な理解につながるように、趣旨などを明示することが求められた。
非財務情報の取扱いに関しては、前文等での言及に賛成する意見がある一方で、「開示や監査の基準が検討されているなかで記載することは時期尚早」と懸念する意見も複数聞かれた。
⑶で言及されたダイレクトレポーティングについては、反対もしくは慎重な検討を求める意見が大半であった。
⑷については、特段の異論は聞かれなかったものの、「改善状況だけではなく、訂正の理由をしっかりと説明させるべき」との意見があった。
⑸に関しては、課徴金の検討なども今後の留意事項として提案された。
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本記事は、旬刊誌『経理情報』に掲載している「情報ダイジェスト」より抜粋しています。
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