旬刊『経理情報』2024年7月10日号(通巻No.1715)情報ダイジェスト①/会計
【会計】JICPA実務指針等の移管指針、公表議決─ASBJ
去る6月20日、企業会計基準委員会は、第528回企業会計基準委員会を開催した。
主な審議事項は次のとおり。
■移管指針の適用等
日本公認会計士協会の実務指針等のうち会計に関する指針のみを扱う実務指針等をASBJに移管するプロジェクトにおいて、移管指針「移管指針の適用」および14本の個別移管指針について、公開草案に寄せられたコメントを踏まえた修正案の審議が行われた。
出席委員全員の賛成で公表議決された。7月1日に公表予定。
■継続企業および後発事象に関する調査研究
第522回親委員会(2024年4月10日号(№1707)情報ダイジェスト参照)に引き続き、日本公認会計士協会が公表した実務指針等をASBJに移管するプロジェクトに伴いまとめられた「継続企業及び後発事象に関する調査研究」の文案が示され審議された。
委員から特段の意見は聞かれず、公表することが了承された(6月21日公表。https://www.asb-j.jp/jp/misc/misc_others/2024-0621.html)。
■金融資産の減損
第220回金融商品専門委員会(2024年7月1日号(№1714)情報ダイジェスト参照)に引き続き、ステップ5(一般事業会社に対する検討)を採用する一般事業会社における貸倒引当金の対象となる金融資産に関する検討の方向性が審議された。
事務局から、現行基準において貸倒引当金の対象となる主な金融資産等について、IFRS9号「金融商品」における取扱いや金融資産の性質等を踏まえ、次の提案が示された。
委員からは、「⑵の未収金は、⑴の売掛金の取扱いと同じとするほうがいいのでは」との意見が聞かれた。
■ベンチャーキャピタル(VC)ファンドの出資持分
第220回金融商品専門委員会(2024年7月1日号(№1714)情報ダイジェスト参照)に引き続き、上場企業等が保有するVCファンドの出資持分に係る会計上の取扱いの審議において、これまでに聞かれた意見に関して審議が行われた。
修正提案する主な事項は次のとおり。
⑴ 総額法で会計処理している組合等への出資
組合財産のうち持分割合に相当する部分を出資者の資産・負債としてBSに計上し、PLについても同様に処理する総額法について、その会計処理を行っている組合等への出資にも時価評価オプションの適用を認め、その場合は、金融商品の時価等に関する事項および金融商品の時価のレベルごとの内訳等に関する事項についての開示(注記)の規定を適用する。
⑵ 連結上の取扱い
時価評価オプションを適用する企業として主に想定しているのはLP出資者であること等を踏まえ、時価評価オプションを適用することとした組合等が連結子会社に該当する場合の会計処理については、本プロジェクトの範囲には含めない。
委員からは「⑵について、『個別財務諸表における時価評価を連結財務諸表においても引き継ぐ』との考え方もあるのではないか」との意見が聞かれた。
■四半期報告書制度の見直し
第526回親委員会(2024年6月10日号(№1712)情報ダイジェスト参照)に引き続き、中間会計基準等に関連する他基準修正への対応における、中間会計期間の取扱いについて現行の会計基準等で取扱いが明らかでない項目の整理について審議が行われた。
事務局から、個別の会計基準等において、第二種中間財務諸表、第一種中間財務諸表および四半期財務諸表のそれぞれの取扱いが定められているかどうか、そのうえでそれぞれの取扱いの明確化が必要かどうかを検討することとし、次の項目を明確化する案が示された。
委員からは特段の異論は聞かれなかった。
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本記事は、旬刊誌『経理情報』に掲載している「情報ダイジェスト」より抜粋しています。
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