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【会計】税金費用の計上区分等へのコメント対応、検討─ASBJ、税効果会計専門委

去る6月27日、企業会計基準委員会は第80回税効果会計専門委員会を開催した。
今回は、2022年3月30日に公表された次の公開草案に対して寄せられた主なコメントについて、事務局の対応案が検討された。

・企業会計基準公開草案71号「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準(案)」
・企業会計基準公開草案72号「包括利益の表示に関する会計基準(案)」
・企業会計基準適用指針公開草案72号「税効果会計に係る会計基準の適用指針(案)」

■ 税金費用の計上区分(その他の包括利益に対する課税)

複数の区分に関連することにより、株主資本またはその他の包括利益に計上する金額の算定が困難な場合として、退職給付に関する取引が想定され、税額を損益計上することができる例外的な取扱いを認めるとする提案に対し、「退職給付に関する取引でも、『困難』と認められる場合のみ例外的な取扱いに該当するか」、「退職給付に関する取引以外に該当する取引を想定していない理由を明示すべき」等のコメントが寄せられた。
これに対し、事務局は「当該例外的な取扱いは、退職給付における掛金等の支出額の算定が困難であると考えられることから設けた定めであり、退職給付に関する取引は、金額の算定が困難な場合に該当すると考えられる」とのコメント案を示した。
専門委員からは「退職給付に関する取引が一律に『困難』であるとは言い難いのでは」との意見が聞かれた。事務局は「退職給付に係る算定は基本的に複雑であり、困難さがあると考えている。ただ、困難でないケースがないとは言い切れないため、表現を見直したい」とした。

■ グループ法人税制が適用される場合の子会社株式等の売却に係る税効果

公開草案では、①繰延税金資産または繰延税金負債の認識に関して、子会社株式等の売却に伴う売却損益の繰延べに係る一時差異についてはそれらを消去する、②子会社に対する投資に係る一時差異についてはそれらを計上しない旨を提案していた。これに対し事務局は、寄せられたコメントを集約すると、繰延税金資産または繰延税金負債の認識について、①と②の間で異なる取扱いを設けることが合理的か否かといった論点になるとした。
事務局はまず、①は子会社株式等をグループ内で売却したことで生じる一時差異であるのに対し、②は子会社等の資本連結(または持分法の適用)によって生じる一時差異である点や、投資の売却や清算などによる解消事由等の相違点が挙げられ、両者の性質は必ずしも同じであるとはいえず、異なる取扱いを定めることは合理的であるとの考えを示した。そのうえで、繰延税金負債または繰延税金資産の計上に関する公開草案の内容を修正する必要はないとした。他方、両者の性質の相違については、公開草案では明らかではないため、結論の背景に記載する旨を示した。
専門委員からは特段の異論は聞かれなかった。


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