見出し画像

スタンフォード大学|【連載】Study Abroad Journal—留学体験記—(第2回)

留学のきっかけ

私は、2016年12月に弁護士登録をしてから、森・濱田松本法律事務所に所属し、エネルギーファイナンス・証券化・金融規制の分野を中心に業務を行って参りました。エネルギー案件の研鑽をより積む目的で、19年7月から2年間、日本政策投資銀行に出向し、多様なエネルギー案件に関与する機会に恵まれました。

エネルギー案件に取り組む中で、日本のエネルギー法制の複雑さや変化のダイナミクス、その影響の大きさを痛感し、エネルギー法制、およびエネルギー法制の基礎となる環境政策について理解を深めるために、出向中特に検討する機会の多かった米国への留学を考えるようになりました。

以下では、22年6月に卒業したスタンフォード大学ロースクールについて、出願理由や大学での授業内容、生活面についてご紹介させていただきます。 

留学先を決めた理由・大学の特徴

米国では、特にカリフォルニア州が再生可能エネルギーの導入をリードしており、同州の法政策について勉強できると考え、同州に所在するスタンフォード大学を留学先に決定しました。スタンフォード大学のLL.M.課程は、4つのプログラムがあるのですが、プログラムごとに学生からの相談に対応する(そして後述のColloquiumの授業を担当する)Teaching Fellowがおり、1プログラムあたり20名前後の学生が所属するという少人数型の教育方針を採用しており、各国の学生との議論を通じた学びが多いのもメリットでした。

プログラムのうち、私は、環境・エネルギー問題に主として取り組むEnvironmental Law and Policy (ELP)を選択しました。ELPは、プログラム名にPolicyが入っているとおり、政策面の研究を重視しており、私の留学目的に沿っていました。そして、スタンフォード大学の温暖な気候や、自然に恵まれた広大なキャンパスも、恵まれた学習環境を維持するうえで魅力的でした。 

大学での専攻

ELPでは、ロースクールの授業はもちろん、他学部も含めた多様な授業を履修することができました。重要な授業の1つであるColloquiumでは、環境法政策への取組みの基礎となる知識やリサーチ方法について秋学期に学習し、その内容をふまえ、春学期に論文の執筆とプレゼンテーションを行いました。

MBAとの合同授業も多く、Climate: Politics, Finance, and Infrastructureという授業では、環境・エネルギー分野での起業に興味を持つMBAの学生と交流することができました。他学部の授業では、Energy Seminar等のエネルギー分野に関連するセミナーに出席し、エンジニアが持つ視点を学習することができました。

いずれの授業でも講師と学生間の距離が近いことが多かったように思います。たとえばWritingの授業では、J.D.生4名、LL.M.生4名の合計8名という構成で、発言機会が多いのはもちろん、課題へのフィードバックも大変丁寧でした。

留学中の生活

ロースクールや学生主催の交流イベントが多く、交友関係を深めるのに役立ちました。そしてキャンパス内にはゴルフ場、テニスコート、ジムが完備されており、運動して気分転換することができます。キャンパス外では、近隣の国立公園(レッドウッド、ピナクルズ、ヨセミテ等)や、貴重な野生のラッコを見ることができるモントレーへのアクセスも良好で、西海岸の大自然を楽しむことができます。

充実した学習面でのサポートはもちろんですが、自然豊かな西海岸を楽しむことができるのも、スタンフォード大学に留学する利点の1つです。

著者略歴

立入寛之(たちいり・ひろゆき)Tachiiri Hiroyuki
森・濱田松本法律事務所 弁護士。2008年私立浅野高等学校卒業、13年東京大学法学部第1類卒業、15年東京大学法科大学院修了、16年12月弁護士登録。2017年1月より森・濱田松本法律事務所。19年7月~21年6月株式会社日本政策投資銀行に出向。主な著作に「TOPIX100構成銘柄企業のコーポレートガバナンス・コード対応の傾向—2018年3月末時点開示内容をもとに—」旬刊商事法務No.2168。


バックナンバー

第1回 ジョージタウン大学(中野進一郎 弁護士)


〈『ビジネス法務』のご案内〉 

 本記事は、月刊誌『ビジネス法務』掲載記事を加筆修正したものです。
実務に寄り添った生の声・情報をお届けする本誌もあわせてご活用ください!
電子版(PDF)の閲覧・検索サービスもご用意!詳細はこちらから


#中央経済社 #ビジネス法務 #法務 #キャリア
#StudyAbroadJournal #留学体験記 #留学 #弁護士