見出し画像

【会計】旬刊『経理情報』2023年9月20日号(通巻No.1688)情報ダイジェスト

【会計】電子決済手段の実務対応報告案、コメント対応の検討、開始─ASBJ、実務対応専門委


 
去る8月28日、企業会計基準委員会は第159回実務対応専門委員会を開催した。
5月31日に公表した実務対応報告公開草案66号「資金決済法における特定の電子決済手段の会計処理及び開示に関する当面の取扱い(案)」等へのコメント対応について、審議が行われた。

■表示に関するコメント


表示について、「貸借対照表の表示は『現金及び預金』に含めるものと理解したが、明確には記載されていないことから、明確化を希望する」とのコメントが寄せられた。これに対し、事務局から「我が国の会計基準では、貸借対照表上の現金及び預金の範囲を定めていないが、本実務対応報告の対象となる電子決済手段は、キャッシュ・フロー計算書上、現金に含めることを提案している。このため、貸借対照表上は、その性質を示す適切な科目で表示し、キャッシュ・フロー計算書上における現金及び現金同等物の残高と貸借対照表上の科目別残高との関係について調整が必要な場合には、その調整を注記する」との対応案が示された。
専門委員からは、「預金に準じて取り扱う科目について、貸借対照表上で現金及び預金に含めるケースも考えられる。重要性によって判断する考え方も明記しては」との意見が聞かれた。

■事例・取引例に関するコメント


事例や取引例について、「具体的にイメージしやすいように本実務対応報告に含めることを検討いただきたい」とのコメントが寄せられた。これに対し、事務局からは「現時点では電子決済手段の発行事例がなく、具体的な例が示せないため対応しない」とする対応案が示された。
専門委員からは「イメージ図でもいいので、『公表にあたって』に記載されれば理解が進むのではないか」との意見が出され、事務局から「事例がないものをASBJで示すのは難しい」との回答があった。
 

【会計】金融商品の条件変更に関する開示、検討─ASBJ、金融商品専門委
 


去る8月28日、企業会計基準委員会は第205回金融商品専門委員会を開催した。
金融資産の減損に関する会計基準の開発に関して、ステップ2を採用する金融機関における金融資産の条件変更に関する開示について審議が行われた。
これまでの議論で、注記に関する基本的な方針では、IFRS9号「金融商品」の定めを取り入れない項目については、原則としてIFRS7号「金融商品:開示」の開示に関する定めを取り入れないとしつつ、必要に応じて個別に検討を行うとされていた。
これを踏まえ、IFRS7号で要求されている条件変更に関する開示については、取り入れないとの事務局案を示していたが、委員から、条件変更に関する情報は重要であり、現行実務で銀行等では銀行法施行規則等に基づく開示が行われているため、これらの情報と開示との関係を整理する必要があるとの意見が聞かれていた。
そこで、次の観点から事務局の分析が行われ、案が示された。


 
⑴ 条件変更に関するIFRS7号の定めを取り入れるか
⑵ 銀行等金融機関において要求されている条件変更に関する開示(銀行法および金融再生法に基づく債権に関する開示)を取り入れるかどうか
 

■IFRS7号の定め


 ⑴に関して、IFRS7号では次のような開示要求事項が規定されている。
 

① 当期中に損失評価引当金を全期間の予想信用損失に等しい金額で測定していた間に契約上のキャッシュ・フローの条件変更が行われた金融資産について、条件変更前の償却原価および認識した条件変更による正味の利得または損失(35J項⒜)
② 当初認識以降に損失評価引当金が全期間の予想信用損失で測定されていた時に条件変更され、当報告期間中に損失評価引当金が12カ月の予想信用損失に等しい金額に変化した金融資産について、報告期
間の末日現在の総額での帳簿価額(35J項⒝)
③ IFRS9号の5・5・12項の金融資産の契約上のキャッシュ・フローの条件変更に関する要求事項をどのように適用したのか(35F項⒡)
 

①~③に関して、コストが便益を上回る可能性がある等の理由から、金融商品の条件変更に関するIFRS7号の定めを取り入れないとする事務局案が示された。

■銀行法および金融再生法に基づく債権に関する開示


 ⑵に関して、銀行法および金融再生法に基づく債権に関する開示は、規制当局が金融機関の監督を目的としたものであること等から、会計基準に取り入れないとする事務局案が示された。
                
専門委員からは、異論は聞かれなかった。また、「⑵について任意の開示を妨げない旨を結論の背景に記載しては」との意見が聞かれた。


〈旬刊『経理情報』電子版のご案内〉

本記事は、旬刊誌『経理情報』に掲載している「情報ダイジェスト」より抜粋しています。
『経理情報』は、会社実務に役立つ、経理・税務・金融・証券・法務のニュースと解説を10日ごとにお届けする専門情報誌です。タイムリーに新制度・実務問題をズバリわかりやすく解説しています。定期購読はこちらから

電子版(PDF)の閲覧・検索サービスもご用意!詳細はこちらから


#中央経済社 #旬刊経理情報 #ニュース #実務