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バージニア大学|【連載】Study Abroad Journal—留学体験記—(第4回)

私は、弁護士登録以来、アセットマネジメントやキャピタルマーケッツを中心とするファイナンスと、国際課税を含む税務を扱っており、2022年7月からバージニア大学ロースクールのLL.M.コースに留学しています。

留学先を決めた理由

ファイナンスと税務の専門性を磨くため、これら双方の分野で授業や教授陣が充実している大学として、バージニア大学を選びました。バージニア大学は、独立宣言を起草した第3代大統領トマス・ジェファーソンが設立した大学で、伝統的には公法分野(憲法、国際法、税法など)が有名でしたが、近年はビジネス・金融分野にも力を入れており、商法の神田秀樹教授や民法の沖野眞巳教授の在外研究先でもありました。
LL.M.は毎年40人程度の募集であり、LL.M.生同士でも交流しやすい小規模なプログラムとなっているほか、大半の科目が定員を30〜80人程度(ゼミは15人程度)に設定しており、授業自体も少人数で開講されている点が特徴的です。
また、家族連れで渡米するにあたり、大都市と比べて治安が良いこと、家賃等の生活コストを抑えられること、自然豊かで生活環境が良いことも魅力的でした。

【ロタンダ3階のドーム・ルーム】
大学のシンボルであるロタンダは、ジェファーソンが自ら設計した建物の1つであり、ユネスコの世界遺産に登録されています。私の年のLL.M.生は、ジェファーソンゆかりのロタンダのドーム・ルームで合衆国憲法の導入講義を受けました。
【ロースクールの建物】
ロースクールの正面玄関です。弁護士出身のジェファーソンは、大学設立とともにロースクールを設立しました。約50年前にロタンダの近くから現在の場所に移転しましたが、現存するアメリカのロースクールの中では2番目に長い歴史があります。

大学での専攻

金融関連の科目(担保取引、ファンド規制など)と、税法関連の科目(連邦所得税、国際課税など)を中心に受講しています。このうち、ファンド規制の授業は、第一線で活躍されていた実務家講師による2週間の集中講義です。私の業務と関連する分野ですが、授業が開講されない大学も多く、バージニア大学で特に受講したい科目の1つでした。

【ロースクールの建物内部】
ロースクールの正面玄関を入った場所にある、東西の建物をつなぐ回廊です。教室と図書室を行き来するため、毎日この場所を通ります。

LL.M.生単独の授業はほとんど開講されないため、大半の科目をJ.D.生と一緒に受講します。バージニア大学では、J.D.生の有志がPeer Adviserとして、科目選択や期末試験対策の相談にのってくれます。また、少人数授業であるため教授との距離が近く、発言や質問も行いやすいほか、教授からカフェや食事に誘われることもあります。

【ロースクールの図書室】
定期試験前には多くの学生が図書室を利用します。LL.M.生は、図書室内で1席ずつ自習席の割当てを受けられます。

シャーロッツビルでの生活

バージニア大学のあるシャーロッツビルは、ワシントンD.C.から車で約2時間半の距離にある、緑豊かな小都市です。その中でも、ロースクールの建物はダウンタウンや大学のメインキャンパスから少し離れた場所にあり、静かな雰囲気が漂っています。もっとも、ロースクールの近くにもショッピングセンターやレストランがあり、普段の生活は近場で済ませることも可能です。
ロースクールへは自宅から徒歩で通っていますが、買い物や娘の保育園の送迎には自家用車(中古で購入した日本車)を利用しています。また、学生証があれば、市内のバスを無料で利用できます。サマースクールはメインキャンパスで開講されたため、1カ月だけバス通学をしました。
郊外にはバージニア・ワインを生産するワイナリーが多く、秋学期はほぼ毎週末、テイスティングに出かけていました。どこも眺望の良いテラスやピクニックエリアが用意されており、友達・家族連れで賑わっています。

【郊外にあるワイナリーのテイスティング・ルーム】
シャーロッツビル郊外には、トランプ元大統領の一族が経営しているトランプ・ワイナリーもあります。バージニア・ワインの多くは日本では入手困難ですが、ここのワインは一部銘柄が日本で輸入販売されているようです。

著者略歴

坂東慶一(ばんどう・けいいち)Bando Keiichi
森・濱田松本法律事務所 弁護士。2012年東京大学法学部卒業、14年同法科大学院修了、15年弁護士登録。主な著作に『設例で学ぶ オーナー系企業の事業承継・M&Aにおける法務と税務〔第2版〕』(編著、商事法務、2022)、「租税判例速報 収益事業と非収益事業の共通費用への該当性及びその配賦基準—国税不服審判所裁決平成31・2・15」(『ジュリスト』No.1542、有斐閣、2020)など。


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 本記事は、月刊誌『ビジネス法務』掲載記事を一部修正したものです。
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