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【企画紹介】『税務弘報』2023年11月号特集 適正さの判断要素はどこか マンションの評価と問題

はじめに
『税務弘報』2023年11月号掲載の特集企画をご紹介します。


企画概要


「居住用の区分所有財産の評価について」の法令解釈通達案に対する意見募集が行われ,マンションの評価について新たな指針が示されることとなりました。本特集では本件を皮切りに,マンションに関わる重要論点をピックアップ。評価通達6項の最近の動向を確認した上で,賃貸経営,管理組合,建替えという対象,場面別に税理士が直面する実務上の問題を取り上げます。

① 「居住用の区分所有財産の評価について」の要点~法令解釈通達(案)は市場価格との乖離をどう補正するか

平井貴昭 税理士

マンションについては,相続税評価額と市場売買価格(時価)とが大きく乖離しているケースが散見されるようになり,令和5年度与党税制改正大綱にマンション評価の適正化を検討する旨記載された。これを受け,国税庁からマンションの評価方法の見直し案が公表された。この見直し案はどのような考え方で策定されたか,また,その対象となるマンションはどのようなマンションか,さらに,総則6項の関係を中心に解説する。

② 評価通達6項の適用状況と不動産購入による相続税対策の留意点~ケースごとに検討する適用可能性

髙木 駿 税理士法人タクトコンサルティング 税理士・公認会計士

財産評価基本通達(以下,「評価通達」という)6項の適用に係る令和4年4月19日の最高裁判決の内容は,今後の不動産投資を活用した相続税対策の実務に大きな影響を与えるものと考えられる。この最高裁判決の内容を踏まえつつ,最近の評価通達6項の適用状況の情報(評価通達6項適用の上申書及び指示書)を検討し,その適用に係る判断の枠組みに関する国税局の考え方や想定される不動産購入による相続税対策のケースごとの適用に関する考え方及び留意点について考察していく。

③ 通達改正と最高裁判決から考える賃貸経営でやるべきこと~相続対策目的でないことを示す集客・営業・物件のポイント

渡邉浩滋 Knees bee税理士法人 税理士・司法書士

路線価を否認した最高裁判決を発端に,マンション評価の見直しが議論され,通達改正案が発表された。今後,不動産を使った相続税評価が厳しくなる傾向にある。相続税目的では安易に不動産賃貸業を勧められない時代,不動産オーナーにどのようなアドバイスをする必要があるのか。大家さん専門税理士及び自らの賃貸経営の経験談を基に,賃貸経営においての心構えを伝える。

④ 管理組合に関する昨今の税務上の問題~収入源の多様化で収益事業該当性の判断がより重要に

津村美昭 税理士法人フィールズ 公認会計士・税理士

管理組合は収益事業を行う場合のみ,法人税等の申告・納税を行うことになる。申告・納税を行う管理組合は年々増加しており,その事業内容も多様化しているため,収益事業に該当するか否かについて慎重な判断が求められることが多くなっている。また消費税課税事業者となっている管理組合は少ないものの,立替金精算書が必要になるケースもあり,インボイス制度の影響も受けている。管理組合の収益事業が区分所有者の固定資産税額に影響を与えることもあり,また管理組合法人では収益事業を実施
していない場合でも納税義務が生じることがある。

⑤ 分譲マンションの建替えに伴う問題~建替えの障害となる意思疎通や金銭的な事情とは


泰道征憲 T.Y.Links株式会社 不動産鑑定士・土地家屋調査士・宅地建物取引士

「マンションの建替え等の円滑化に関する法律」は昨今のマンション老朽化の状況を踏まえると重要なテーマであるが,法律面を整備するだけスムーズにいかず,ソフトな部分(所有者間の意思疎通や金銭的問題,高齢化の改善)を解消していくことこそが,解決の糸口である。本稿では,ハード面(法的部分)の法律の背景や手続のフローから実体験に基づくソフト面(所有者間の問題)について説明する。

編集部コメント


昨年4月の最高裁判決は,さまざまな方面で話題を呼びました。判例や通達が新しく登場すると,相続に関するアドバイスを見直さなければならないかもしれません。これまでも相続関係の企画を色々と打ち出してきましたが,税だけを見ていては足りないかもと感じる面も。例えばマンションは,オーナーの経営力次第で収入が左右されますし,古くなれば建替えという大きなプロジェクトが必要です。資産を取り巻く人や他の法律などまでカバーできれば怖いものなし? 当事者目線の論攷を集めました。

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