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【金融】サステナビリティ開示の保証等、議論─金融審議会ディスクロージャーWG

去る11月5日、金融審議会は第2回ディスクロージャーワーキング・グループ(座長:神田秀樹・学習院大学大学院法務研究科教授)をオンラインで開催した。
6月公表の「ディスクロージャーワーキング・グループ報告」で示されているサステナビリティ開示に関し、さらに検討すべきとされた事項について、次の論点が示され、議論が行われた。

■サステナビリティ開示をめぐる今後の議論

今後議論すべき事項として、複数の委員から人材育成について言及があり、「証券アナリストのような資格を作るのはどうか」といった意見も聞かれた。

■サステナビリティ開示基準をめぐる今後の動向

国内の基準設定の方向性について、委員から「ISSB基準の最終化を待たずに国内での議論を進めるべき」との意見が挙がった一方、「ISSB基準の構造もまだみえない段階であり、その動向を見据える必要がある」といった意見も聞かれた。
また、具体的開示内容について市場区分等に応じて段階的な対応を取るべきかどうかについて、作成者側の委員からは賛意が示されたものの、他の委員から「サステナビリティの趣旨から、市場区分で差をつけるのは意味がない」、「海外のように、企業規模によって適用時期を段階的にするのはわかるが、開示内容の差はつけるべきではない」と反対意見が多く聞かれた。
そのほか、わが国において、SSBJ以外の開示基準(たとえばISSB基準)を適用することについて、委員から「SSBJに一本化すべき」との意見がある一方で、「グローバル企業にはISSB基準を使いたいニーズがあるのでは」との意見も聞かれた。

■SSBJの位置づけ

サステナビリティ開示基準を有報に取り込むにあたり、SSBJの法的位置づけについて議論された。
委員からは「ASBJに準じて金商法上で位置づけるのが望ましいのでは」との意見が聞かれた。

■サステナビリティ情報に対する保証のあり方

保証のあり方について、事務局から、保証の担い手(知見・専門性、独立性、人材育成)、保証の基準(国際的な基準との整合性)、保証範囲、保証水準、有報の記載欄での任意の保証の言及といった論点が示された。
委員からは「担い手は公認会計士の役割が大きい」、「保証機関の品質確保のために許可制にしては」、「国際的な保証基準の議論にオールジャパンで意見を発信すべき」、「開示基準が検討中の段階であり、保証は中長期的課題である」、「GHG排出量のスコープ3は推定値となるが、その開示に対する保証をどこまでするか詳細な検討が必要」、「任意の保証についても一定のルールが必要」といった意見が聞かれた。

■ロードマップ

わが国のサステナビリティ開示の段階的な拡充に向けたロードマップを作成していくことについて、多くの委員から賛意が示された。


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