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登録申請書を確認してみよう|【連載】消費税インボイス対応ノート[登録申請編]第3話

前話までで、インボイス登録の仕組みや登録から発行までのスケジュールなどを解説しました。第3話からは、いよいよ登録申請の準備に取りかかっていきましょう。 

用途に応じた用紙を選ぼう 

インボイスの登録申請には、紙の書面で提出する方法とe-Taxと呼ばれる国税庁のオンラインシステムを使ってインターネットで提出する2種類の方法があります。
このうち紙の書面で提出する方法では、登録申請用紙を国税庁のホームページからダウンロードするか、最寄りの税務署に行ってもらってくるか、いずれかの方法により入手する必要があります。
ただし、国税庁のホームページでは、申請する内容に応じて、次のようないろいろな用紙が準備されています。提出すべき用紙を間違えないようにしてください。

-登録申請書といってもいろいろな種類がある

① 適格請求書発行事業者の登録申請書(国内事業者用)
② 適格請求書発行事業者の登録申請書(国外事業者用)
③ 適格請求書発行事業者登録簿の登載事項変更届出書
④ 適格請求書発行事業者の公表事項の公表(変更)申出書
⑤ 任意組合等の組合員の全てが適格請求書発行事業者である旨の届出書
⑥ 任意組合等の組合員の全てが適格請求書発行事業者である旨の届出事項の変更届出書

-国内で事業を行っている人が提出すべき用紙はこれ

国内で事業を行っている人は、①の「適格請求書発行事業者の登録申請書(国内事業者用)」を入手して提出することになります。
ホームページから登録申請書(国内事業者用)をダウンロードするのであれば、こちらから入手してください。 
ダウンロードした登録申請書は、プリントアウトしてボールペン等で記載欄に直接記入することもできますが、パソコン上でPDFに直接入力することもできます。この場合、ブラウザ上で開かれたファイルに直接入力するのではなく、デスクトップ等に保存したものに入力しないとうまく入力できない場合があります。

-氏名・登録番号・登録年月日以外の情報を公表したいとき

個人事業主であれば、インボイス登録がされると、原則として公表されるものは「氏名(法人の場合は名称)」、「登録番号」、「登録年月日」になります。法人であれば、これら以外に「法人の本店又は主たる所在地」も公表されます。
個人事業主については、住所は公表されませんが、同姓同名の人がいた場合や屋号のみで商売を行っている場合など、事業を行っている所在地や屋号などがわからなければ、取引先が皆さんの登録番号を調べたくても調べられず困ることも考えられます。
 
そこで個人事業主については、必ず公表される項目以外に、任意に公表できたり変更できたりすることができる項目が設けられており、「適格請求書発行事業者の公表事項の公表(変更)申出書」を提出することで公表できます。この公表(変更)申出書では、屋号と事務所の所在地を追加で公表でき、住民票に併記されている通称や旧姓を、氏名に代えて公表したり、氏名と併記して公表したりすることができます。
 
ホームページから公表(変更)申出書をダウンロードするのであれば、こちらから入手してください。

登録申請書(国内事業者用)の記載・提出時に必要になるもの

免税事業者の個人事業主の方は、「登録申請書(国内事業者用)」にマイナンバーを記載する必要があります。マイナンバーを確認するためには、マイナンバーカードなどを見て確認することになりますが、マイナンバーを記載した紙の「登録申請書(国内事業者用)」を税務署に提出する場合には、次のいずれかの書類も併せて添付する必要があります。

  • マイナンバーカードの両面の写し

  • マイナンバーの記載がある住民票の写し+免許証などの身分証明書の写し

  • マイナンバーの記載がある紙の通知カードの写し+免許証などの身分証明書の写し

しかし、登録申請書を提出する時点で免税事業者ではなく、すでに課税事業者であった場合、「登録申請書(国内事業者用)」にマイナンバーを記載する必要がなければこれらの書類を添付する必要はありません。
なお、法人が、「登録申請書(国内事業者用)」を作成する場合、法人番号を記載する必要がありますが、法人番号は、国税庁の法人番号検索サイトから商号や名称、所在地を使って簡単に検索することができます。

書面で提出する場合、どこに提出すればよいの?

国税局(事務所)では、「インボイス登録センター」を設置し、インボイス制度に関する申請書の入力や電話照会等の事務をまとめて対応しています。
そこで、インボイス制度に関する紙の申請書等を郵送により提出する場合は、管轄地域のインボイス登録センターへ送付する必要があります。

インボイス登録センター一覧

事務所名(管轄地域)の順に記載します。各インボイス登録センターの詳細はこちら

インターネット経由で提出する

書面(紙)ではなく、インターネット経由で提出する登録申請などの手続には、次の方法があります。

  • パソコンにアプリをダウンロードして使用する「e-Taxソフト」による申請方法

  • MicrosoftEdgeやGoogleChromeなどのブラウザを利用して国税庁のホームページ上から直接申請する「e-Taxソフト(WEB版)」による方法

  • スマートフォンやタブレットのiOSやAndroidブラウザを利用して申請する「e-Taxソフト(SP版)」による方法

ただし、「e-Taxソフト(SP版)」による方法は、個人事業主のみが利用でき、法人は利用できません。

【図表3-2】インターネットでの登録申請方法

インボイスの登録はどれぐらいの期間でされるの?

第1話で解説したように、皆さんがインボイスの登録申請を行った後、形式的な審査が行われ「適格請求書発行事業者登録簿」に登録されることになりますが、その登録された日からインボイスの発行事業者になることができます。そしてインボイス登録が行われると、皆さんの手元に登録番号などが記載された登録通知書が郵送または電子データで届けられます。

郵送された通知書

登録申請から登録通知が届くまでにどれくらい待たなければならないかは、登録申請書の提出状況により異なることになっていますので、皆さんが登録申請書を提出した時点で他の多くの事業者が提出するなど混み合っていた場合には、処理に時間がかかり、登録通知が届くまでの期間も長くなることが予想されます。

-登録通知を早く受け取りたいとき

そこで、登録通知を早く受け取りたい場合には、いくつかある選択肢のうち早く受け取れる方法を選択することが必要です。それには登録申請の方法を紙の書面ではなく、e-Tax(インターネット経由)により提出することが必要です。
 
現状ではe-Taxによる提出であれば登録通知が届くまでの期間が3週間程度であるのに対し、紙の書面の提出だと2か月程度かかる見込みです。また、登録申請書をe-Taxで提出し、登録通知を受け取る方法を電子データで受け取ることを選択したうえで、事前にメールアドレスを登録していると、登録通知が格納されたことを知らせるメールが届いて、登録通知をすぐに確認することができます。

インボイスの登録状況を確認してみよう!

インボイス発行事業者の情報は、国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」で公表されます。このサイトは、誰でも見ることができますが、調べたい登録番号を入力することで、公表されている項目を確認することができます。登録が済んだらぜひ自分の番号を入力して確認してみましょう。 

13桁の数字を入力し、検索をクリックする。
公表される項目の一覧。

第4話では、書類を紙で提出する場合の、登録申請書の書き方を解説します。 

筆者略歴

山口 隆司(やまぐち・りゅうじ)
税理士・社会保険労務士

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