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旬刊『経理情報』2024年10月10日号(通巻No.1723)情報ダイジェスト②/会計


【会計】ISSB基準との差異となる部分の検討、進む─SSBJ

去る9月19日、SSBJは第39回サステナビリティ基準委員会を開催した。
3月29日に公表されたサステナビリティ開示ユニバーサル基準公開草案(以下、「適用基準案」という)およびサステナビリティ開示テーマ別基準の公開草案(以下、あわせて「本公開草案」という)に寄せられたコメントへの対応案について、審議が行われた。
主な審議事項は次のとおり。

■ガイダンスの情報源における適用可能性を考慮する際の文書化

ISSB基準では、「適用可能性を考慮しなければならない」という要求事項について、どのような場合に当該要求事項を満たしたことになるのかが、明示されていない。このため、公開草案では、企業がガイダンスの情報源を考慮した証跡を残すことが有用とし、当該要求事項を満たすために企業がどのような検討を行ったのか、その考慮の過程についての概要が理解できるものを、報告期間ごとに文書として明確化することが考えられる旨を結論の背景に記載している。
これに対して、「ISSB基準との差異になる」、「文書化を要求する内容はこの箇所のみで記載のバランスを欠いている」などのコメントが寄せられた。
事務局は、寄せられたコメントの懸念について一定の理解を示したうえで、文書化が行われない場合、「適用可能性を考慮しなければならない」という定めを満たしたかどうかを客観的に判断しづらくなる可能性があるため、公開草案における当該文書化に関する記述を削除し、補足文書または解説記事において当該文書化に関する記述を提供するのはどうかと提案した。
委員からは、賛意が多く聞かれた。

■IFRS S1号B4項およびB5項に相当する定めの取扱い

IFRS S1号では、サステナビリティ関連のリスクおよび機会が、企業と当該企業のバリュー・チェーンを通じた利害関係者、社会、経済および自然環境との相互作用から生じるとしたうえで、相互作用が依存するとされる「資源及び関係」や「依存関係及びインパクト」についてB4項およびB5項において説明している。
公開草案では、基準の読みやすさの観点からIFRS S1号B4項およびB5項をそのまま取り入れるのではなく、具体的な開示の定めにおいて「資源及び関係」や「依存関係及びインパクト」を説明しており、適用される定めがISSB基準の要求事項と変わらないことを意図している(適用基準案BC63項にてバリュー・チェーンの範囲の決定に関する具体的な定めの詳述、BC84項およびBC85項においてサステナビリティ関連のリスクおよび機会の見直しに関する定めにおいて、具体的にバリュー・チェーンに影響を与える事例を記述)。
これに対して、「ISSB基準との差異になり得る」とのコメントが多く寄せられた。
事務局は、適用基準案を修正し、IFRS S1号B4項およびB5項に相当する定めを結論の背景に追加することが考えられると提案した。
委員からは賛意が聞かれた。が挙げられている。IASBでは、これらの疑問に対して、IAS28号の原則を識別して適用することで対応しようとしている。したがって、当該プロジェクトは限定的な範囲での検討となる。

■公開草案の内容

公開草案では、たとえば、次のような実務適用上の疑問に答えるためのIAS28号への改訂提案を挙げている。

① 重要な影響力を獲得した際の所有者持分の変化
② 重要な影響力を保持したままでの所有者持分の変化(たとえば、新たな所有者持分を購入したときや、所有者持分を処分したとき)
③ 持分損失の認識
④ 関係会社との取引に関する会計処理(たとえば、子会社から関係会社に売却をしたとき)
⑤ 関係会社の識別可能資産・負債への持分を公正価値で測定する際に関係する当初認識に関する税効果

■コメント期限

当該公開草案に対するコメントは、2025年1月20日まで受け付けている。


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本記事は、旬刊誌『経理情報』に掲載している「情報ダイジェスト」より抜粋しています。
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