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【会計】貸手のオペレーティング・リースの会計処理、検討─ASBJ、リース会計専門委

去る5月24日、企業会計基準委員会は第115回リース会計専門委員会を開催した。
主な検討事項は次のとおり。

■ 貸手のオペレーティング・リース(OL)の会計処理

第110回リース会計専門委員会(2022年3月20日号(No.1639)情報ダイジェスト参照)での意見を踏まえ、貸手のOLの会計処理は、IFRS号「リース」と同様に、リース料を、定額法または他の規則的な基礎のいずれかで収益として認識する案が示された。そのなかで貸手の変動リース料の取扱いについて、事務局は次の提案を行った。

変動リース料のうち、指数またはレートに応じて決まる変動リース料のみを貸手のリース料に含める定めを置く。ここで、当初測定においては、リース開始日現在の指数またはレートを用いて測定することを定める。

また、不動産業界からフリーレント取引において基準対応へのコストが増加する懸念が聞かれており、これに対して事務局から、簡便的な取扱いを定めるのは難しく、発効日や経過措置で考慮する案が示された。
専門委員から「フリーレントでコストが増加する懸念のある理由は」という質問に、事務局から「件数が多く、システム対応していない会社が多いため」との回答があった。

■ リース負債の見直しおよびリースの条件変更

第113回専門委員会(2022年5月10日・20日合併号(No.1644)情報ダイジェスト参照)で、使用する割引率を明確化する案に異論が聞かれた。今回、事務局から、使用する割引率を明示しない案が示され、賛否が分かれている論点のため、公開草案で個別の質問事項とするとされた。
専門委員から「企業が選択する割引率は、会計方針とするのか、リース1件ごとに自由に定められるのか」との意見に、事務局から「明確化するか検討する」との回答があった。

■ IFRS16号における設例

IFRS16号の設例11「少額資産のリースとポートフォリオへの適用」について、採り入れない案が示され、専門委員から特段の異論は聞かれなかった。

■ わが国に特有な取引等についての設例

第477回親委員会および第113回専門委員会(2022年5月10日・20日合併号(No.1644)情報ダイジェスト参照)で示された普通借家・借地契約に関するリース期間の設例について、再提案が行われた。
設例内の分析において、リース期間をレンジまたは特定の年数で示すのではなく、可能性が確実である解約不能期間を考慮の始点として、経済的インセンティブを生じさせる要因を考慮すると、確実よりは低いものの高い閾値である「合理的に確実」の可能性に到達するまでにどのくらいの期間を追加することになるかという思考プロセスを示す案が示された。
また、設例1の分析では、「本設例の前提条件を考慮した場合、A社が延長オプションの行使を行うのは2回又は3回と判断する可能性があると考えられる」との記載が示された。
5月17日開催の第479回親委員会でも審議が行われたが、親委員会委員からも、今回の専門委員からも、「設例1の『2回又は3回』の記述は唐突な印象。削除したほうがよいのでは」といった意見が複数聞かれた。

■ 改正・修正が必要な他の基準

リース会計基準の改正に伴い、次の基準等について、改正の審議が行われた。

・企業会計基準18号「資産除去債務に関する会計基準」および企業会計基準適用指針21号「資産除去債務に関する会計基準の適用指針」
・日本公認会計士協会会計制度委員会報告8号「連結財務諸表等におけるキャッシュ・フロー計算書の作成に関する実務指針」
・企業会計審議会「連結キャッシュ・フロー計算書等の作成基準」


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