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【会計】パーシャルスピンオフの会計処理、審議─ASBJ、企業結合専門委

去る4月13日、企業会計基準委員会は第102回企業結合専門委員会を開催した。
第498回親委員会(2023年4月10日号(No.1674)情報ダイジェスト参照)において新規テーマとされた「パーシャルスピンオフの会計処理」について審議された。

■基準開発の範囲

事務局は、パーシャルスピンオフに係る改正税制が時限的なものであることを勘案すると、今回の基準開発において次の①、②を優先すべき論点として取り扱い、これらに対応するように基準開発を進めること、その場合は、その他の論点は今後対象取引が増加するなどにより、関係者からの基準開発のニーズが高まった段階で検討し、必要に応じて基準開発を行うことを提案した。

  1. スピンオフ実施会社に一部の持分を残す株式分配(按分型)において、スピンオフ実施会社は配当財産の適正な帳簿価額をもって資本を減額すべきか

  2. 子会社株式を分配し支配を喪失した場合、スピンオフ実施会社は連結上、按分変動による差額を損益に計上すべきか、利益剰余金の増減とすべきか

  3. 関連会社をスピンオフ実施会社とする株式分配(按分型)により、スピンオフ対象会社がスピンオフ実施会社の株主の子会社や関連会社以外となる場合(関連会社株式からその他有価証券)、スピンオフ実施会社の株主への次の論点をどう考えるか
    ・個別財務諸表上、スピンオフ対象会社の株式を時価で測定し、損益を計上すべきか
    ・連結財務諸表上、持分変動による差額を損益に計上すべきか、利益剰余金の増減とすべきか

  4. 中間型分割(按分型)の取扱いを定めるべきか、定める場合、株式分配実施会社に一部の持分を残す株式分配(按分型)と同等の取扱いとすべきか

専門委員からは「どこに重きを置いて開発するかわかるようにし、範囲を絞るべき」、「論点3を差し置いた基準化に懸念がある」等の意見が聞かれた。

■スピンオフ実施会社の個別財務諸表上の会計処理

事務局提案は次のとおり。

⑴対象範囲

株式分配実施会社から事業を独立させる組織再編を行ったか否かに着目し、株式分配後に子会社に対する支配を喪失する一部留保の株式分配(按分型)を対象とし、全部配当の株式分配(按分型)と同様の例外的な定めを設けるか否かの検討を行う。

⑵会計処理

株式分配後に子会社に対する支配を喪失する一部留保の株式分配(按分型)の場合、全部配当の株式分配(按分型)の場合と同様に、株式分配実施会社は配当財産の適正な帳簿価額をもってその他資本剰余金またはその他利益剰余金を減額する。
仮に前記の取扱いとする場合、企業会計基準適用指針2号「自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準の適用指針」10項⑵を次のとおりに改正する。

保有する子会社株式のすべてを株式数に応じて比例的に配当(按分型の配当)するし当該子会社に対する支配を喪失する場合

専門委員からは、「事務局提案に至る理由として、総体としての株主にとっての投資の継続・清算の観点が挙げられているが、すべての現物配当にいえてしまうのでは」等、さまざまな意見が聞かれた。


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