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【監査】内部統制報告制度の見直しに向けた審議、開始─企業会計審議会内部統制部会

去る10月13日、金融庁・企業会計審議会は、第22回内部統制部会(部会長:橋本尚・青山学院大学大学院会計プロフェッション研究科教授)を開催した。9月29日に開催された企業会計審議会総会での提案(2022年10月20日号(No. 1658)情報ダイジェスト参照)を受け、内部統制報告制度の見直しに向けた検討が行われた。

■見直しに係る論点整理

近年の経営環境の急激な変化や関係者等の提言を踏まえ、内部統制基準・実施基準等の見直しを行うことが提案されている。見直しにあたって、次の論点が検討事項として示された。

①内部統制の基本的枠組み

内部統制基準・実施基準等のなかで、コーポレート・ガバナンスやリスク管理との連携に関する記述を明確化すべきかどうか。また、ITの利用および統制のあり方について検討すべき論点はあるかどうか。

②経営者による内部統制の評価範囲

経営者の評価範囲外で「開示すべき重要な不備」が検出される要因として、内部統制の評価範囲に関して、選定基準の定量的な例示に過度に依存していることが挙げられる。そのため、リスクベースで評価範囲および対象を決定することを強調し、評価範囲の定量的な例示の見直しを行うことはどうか。

③監査人による内部統制監査

経営者によるリスクベースの内部統制評価を促していく観点から、経営者と監査人の早期の緊密な協議を促すなど、両者の議論の促進・透明性の向上を図ることはどうか。

④内部統制報告書の訂正時の対応

現行の訂正内部統制報告書は記載が形式化し、不正内容の把握に必要な情報が不十分との指摘がある。そこで、訂正内部報告書で評価結果が変更される場合は、変更に係る判断事由等の開示を求めることはどうか。

■委員の意見

①に関しては、おおむね賛同され、特にITに関する内部統制の状況の記載を求める意見が複数聞かれた。
②に関しては、リスクベースの評価を前提としたうえで「全社的な内部統制および重要な事業の目的に係る勘定科目をどのように決定したかを内部統制報告書で開示すべき」といった意見や、「実施基準にはリスクベースで評価を行う場合のヒントになるようなポイントを多く記載するのがよいのでは」などの意見が挙がった。
③については、現行の日本の制度との比較として、米国のダイレクトレポーティングについて資料で触れられたが、「現状の監査法人のリソースでは、ダイレクトレポーティングは現実的に難しいのではないか」と懸念する声もあった。
④に関しては判断事由等の開示はおおむね賛同が示され、「開示にあたっては改善につながるような具体的な内容の記述を求めたい」との考えも述べられた。
また、その他の意見として、気候変動や人的資本の開示などの非財務情報も内部統制報告制度の対象に含めることを提案する意見も挙がった。


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