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【会計】貸付金の測定に関する追加検討─ASBJ、金融商品専門委

去る1月31日、企業会計基準委員会は第194回金融商品専門委員会を開催した。
金融商品の減損につき審議が行われた。主な審議は次のとおり。

■貸付金の測定

⑴貸付金に関する手数料の収益認識

第494回親委員会(2023年2月10日号(No.1668)情報ダイジェスト参照)に引き続き審議が行われた。
貸付金に関する手数料について、IFRS9号「金融商品」の定めを原則として取り入れつつ、次をすべて満たすことを条件として、手数料を実効金利に含めず、収益認識会計基準等に準じて、手数料に対応する役務を別個の履行義務として識別し、履行義務の充足時に収益として認識することができるとすることが考えられる。

①特定の役務に対する手数料であることが明確である
②手数料の料金設定が対応する役務との関係で合理的である
③手数料が対応する貸付金の金利水準を調整するものではない

特定の役務に対することが明確である手数料を契約当初に受け取るが、②または③を充たさない場合、当該手数料を実効金利の調整には含めず、貸付金の会計処理とは区分して、当該手数料を同種の契約とグルーピングしたうえで予想存続期間にわたり合理的な方法で償却するオプションを設けるという案が示された。
この手法を適用した場合、手数料を実効金利の調整には含めないため、取得価額と債権金額との間に差額がない場合には、約定金利が実効金利と一致し、結果的に引当における貨幣の時間価値を考慮する際に約定金利を用いることになると考えられる。
専門委員からは、「具体的な手数料の費目をなるべく多く例示列挙してほしい」といった要望が挙がった。

⑵償却原価の償却方法

第494回親委員会では、予想信用損失の測定に関する原則の1つである引当における貨幣の時間価値の考慮に関するIFRS9号の定めを採用するときに、貸付金の測定としてIFRS9号における償却原価を採用することを提案していた。
第193回金融商品専門委員会(2023年2月1日号(No.1667)情報ダイジェスト参照)を含むこれまでの審議では、システム対応等の実務上の負荷や現行の税制との親和性の観点から、償却原価の償却方法として定額法を適用するオプションを望むコメントがあった。
ステップ2では、国際的な会計基準と遜色がないと認められる会計基準を目指すことを目的としており、償却原価の償却方法として定額法を容認することについて国際的に説明していく理屈が必要であるとの考えが事務局より示された。
専門委員からは、「利息法のほうが理論的には合っているのではないか」、「国際的に説明可能なレベルと実務でできるレベルのバランスを考えるべきでは」等の意見が挙がった。

■金融保証契約の定義・会計処理

第491回親委員会(2022年12月10日号(No.1663)情報ダイジェスト参照)および第193回金融商品専門委員会に引き続き、金融保証契約の発行者側の会計処理について審議された。

⑴金融保証の定義

IFRS9号の金融保証契約の定義を取り入れたとしても、保険契約との区分について特段の対応は不要と考えられる。
事務局からは、金融保証契約の契約当初に公正価値で認識するとするIFRS9号の定めを取り入れるという案が示された。

⑵会計方針の選択

国際的な比較可能性の確保の観点から、IFRS9号の定めを取り入れるとともに、会計方針の選択として金融保証契約と予想信用損失を別個で会計処理することができるとするという案が示された。
専門委員からは、会計方針が選択できることについて賛意が示される一方、「監査法人間でも実務上の見解が割れており、IFRSに合わせても実務にブレが生じるなら高品質なものといえるか疑問である」といった意見が出された。


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